大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・オメガとシグマ・87『パックをペチャンコにする』

2017-05-25 12:25:15 | 小説
高校ライトノベル・オメガとシグマ・87
菊乃のターム『パックをペチャンコにする』




 昼休みが長くなったような気がする。

 学食でランチを食べたあと、南館南側の外、グラウンドを見下ろすベンチに腰掛けて、パックジュースをチビチビ。
 どうかすると飲み切らないうちにチャイムが鳴っていた。
 それが、パックジュースを飲み切っても時間が余る。

 ジュルジュルルーーーーーーペコン

 飲み切ったパックジュースのストローをしつこく吸って、パックをペチャンコにする。
 お母さんは行儀が悪いというけど、子どものころからの癖でやめられない。癪だけど、腐れ童貞と同じ癖。
 ペチャンコにしたところでベンチ一つ向こうのゴミ箱に投げる。
 ストライクになると嬉しい。三回に一回は失敗し、立ち上がって拾い、ゴミ箱に捨てに行かなければならない。
 パックジュースは飲み切っておかないと、わずかに残ったジュースがペシっと飛んで制服やら顔に掛かったりする。
 でも、ペチャンコになるまで吸っとけばジュースの逆襲に遭うことはない。
「でも、かかってしまいますー」
 増田さんは、いつも失敗していた。失敗しても増田さんは、あたしの真似をした。

 ああ、そうだ。増田さんがいないから早く済んじゃうんだ。

 増田さんは、こともあろうにサブカル研に入ったらしい。
 腐れ童貞がシグマさんたちといっしょに作った同好会。サブカルチャーとか言いながらエロゲをやっていることはチラホラ噂にもなっている。
 ま、増田さんが自立して部活をやることはメデタイことなんだけど、あの増田さんが……という気持ちは拭えない。

 余った時間、あたしはこうしてグラウンドに居る生徒たちを見ている。

 観察と言うと大げさなんだけど、人を見ているのが好きだ。
 観光名所とか大自然の美しさには興味が無い、景色がいいのにこしたことはないんだけど、人間が見えてこなければ値打ちは半分。
 グラウンドを見下ろす、この場所は屋上の次に眺めがいい。
 人を見るんだったら、渡り廊下からの中庭もいいんだけど、ちょっと閉鎖的な感じと、背後を人がゾロゾロ歩くのがね。

 ヒューーーーー

 と音はしなかったけど、あたしの頭の上をペチャンコパックが飛んで、ベンチ一つ向こうのゴミ箱にストライクした。
 あたし以外に、あたしよりも遠くから飛ばす人がいるのでビックリした。

 アハハ、ビックリした?

 明るい声に首をひねると、ビバ先輩が涼宮ハルヒみたくスーパーマンポーズで立っている。
「和田先輩!?」
 わざと本名の方でビックリしておく。
「素直じゃないなあ、驚いた瞬間は瑠璃美美波瑠璃だったはずだよ」
「一応敬意を払ったつもりです」
「そっか、ま、いいや」
 そう言うと、ビバ先輩は、あたしの横にどっかと座った。
「え、えと……」
「はい、これにサインしてくれる?」
 先輩は、あたしの顔の前に雑誌を差し出した。
 目の焦点を合わせてロゴを確認すると、トツゲキ6月号だった。
「本日発売のホヤホヤ、四時間目に抜け出して買ってきたばかり」

 そうなんだ、今日は突撃新人賞のあたしの作品が6月号に掲載される日なんだ!

 でも、ビバ先輩は、わけは分からないけど、すでに『くたばれ腐れ童貞!』は読んでいる。
 それをわざわざ学校を抜け出してまで買ってきた。
 なんかある感じはしたけど、きちんと本を差し出されては、サインしないわけにはいかない。
「ども、ありがとうございます」
 サラサラとサインする。
「お~~書き慣れたサインだね~」
「アハハ、必死で練習しましたから(*´∀`*)」
 可愛いリアクションをしておく。
「よし、これで、わたしたちはライバルとして新しい局面に突入するのだよ、ひとひとまずまず」

 先輩は可愛くスキップしながら行ってしまった。

 あいかわらず目は笑っていなかった……。
 
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