大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・連載戯曲 すみれの花さくころ(宝塚に入りたい物語)・2

2017-02-22 06:46:00 | 戯曲
連載戯曲 すみれの花さくころ
(宝塚に入りたい物語)・2



 YouTube 「すみれの花さくころ 大橋むつお」で検索してください 上演のサンプルが見られます 


すみれ: 気味が悪くなっちゃった。新手のキャッチセールスかオタクか、変質者か……それで、夢中で土手を駆け下りて。
 三つほど角を曲がった、自販機の横で、やっと息をついて(ぜーぜー言う)思わずジュースを買って……振り返ったら……また!
かおる: (首から下げた自販機のダミーを外して)アハハ、ごめんね。あたし慣れないもんだから、やっぱり驚かしちゃったよね。
すみれ: あ、あなた、いったいなんなのよ!?
かおる: だから、幽霊。
すみれ: うそよ。こんなまっ昼間に出る幽霊なんか……。
かおる: あたし、暗いとこ嫌いなの。生きてたころから。
すみれ: そんなズッコケ言ったって信じらんないよ。
かおる: ほんとうだってば……そうだ、ちょっと見ててね。

 自販機をソデに放り込み、交差点の真ん中に出て、大きく手をひろげる。

すみれ: あ、赤信号……あ、あぶない。ダンプが……キャー!!

 ブレーキもかけず、クラクションも鳴らさず、ダンプはかおるの体をすりぬけ何事もなかったように走り去る。

かおる: 分かった?
すみれ: な、なんなの、今の?
かおる: だから幽霊。一度死んじゃってるから死なないの。
実体がないから、すり抜けちゃうし、運転手の人からも見えないの。
すみれ: うそ……。
かおる: なんなら、今度は電車にでも飛び込んでみせようか?
すみれ: だって……。
かおる: あなとは霊波動があう適うから見えるの……分かった?
すみれ: ……い、いちおう。
かおる: よしよし。
すみれ: で、でもさ……あたし、小さいころからあの土手道は通っているけど。会ったことないよ……あなたって、浮遊霊?
かおる: んー……地縛霊かな、どっちかっていうと……その本のおかげなのよ、こうやってお話できるの。
すみれ: この本?
かおる: うん。本とか物体にも霊波動があるの。人とは違うけどね。それが鍵になって、二人をこうして結びつけてくれるの。
 それも、もともと二人の霊波動が適うからだけどね。
 ほら、占いとかで、ラッキーアイテムってあるでしょ。何月生まれの人は何々を持っていると幸運がやってくるとか。

すみれ、まが禍々しいもののように、本を投げ捨てる。

かおる: それはないでしょ! 本には罪はないのよ。それに、今さらこれを捨ててもわたしは消えたりしないわよ。
 もう鍵は開けられたんだから(本を、すみれに返す)
すみれ: その幽霊さんが何の用?
かおる: かおるって呼んでくれない。あたし、あなたのこと、すみれちゃんて呼ぶから。
すみれ: どうしてあたしの名前?
かおる: アハハ、小さい時から知ってるもの、すみれちゃんのこと。あなたも言ってたでしょ。
 あの土手道は、しょっちゅう通っていたって。ほら、五年生の夏。あの春川の土手で昆虫採集やったでしょ。
 若い担任の先生がはりきっちゃって、昆虫採集しろって。こんな都会の真ん中で……。
すみれ: あ、うん。でも、たくさんとれたよ。カブトやチョウチョ。あの夏だけは鼻が高かった……あ!?
かおる: 分かった?
すみれ: あれって……。
かおる: そう、あたしが手伝ったの。ひょっとしたら通じるんじゃないかと思って。
すみれ: ありがとう……。
かおる: いいのよ。あれって、あたしのあせりみたいなもんだったんだから、
 アハハ、タラララッタラー(思わずタップを踏んだりする)
すみれ: 明るいのね、かおるちゃんて。
かおる: 幽霊が暗いなんていうのは、生きてる人たちの偏見よ! 
 ちゃんと二本の足もあるし、昼日中でも出てくるし……そうだ、スマホだって持ってるんだよ。ほら!

ジャンル:
小説
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