大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・乃木坂学院高校演劇部物語・85『第十八章 体験入隊へ・3』

2016-12-10 06:25:01 | 小説7
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・85   


『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』姉妹版


 この話に出てくる個人、法人、団体名は全てフィクションです。

『第十八章 体験入隊へ・3』

 そうこうしているうちに、自衛隊の体験入隊の日がやってきた。

 埼玉と東京にまたがるA駐屯地だったので、どこかの駅前に集合かと思ったら、三日前に峰岸先輩からメールが来た。
――当日は、午前八時半、学校裏門前集合。服装は学校指定のジャージ。携帯品は自由だけど、駐屯地に入ったら使えないから少なめがいいよ。

 で、当日。こういうことにはダンドリのいいわたしは六時に起きて茶の間に降りた。
 で、びっくりした。おじいちゃんとおばあちゃんがテレビの天気予報を見ながら待っていた。
「なに、そのカッコウ?」
「国民服だい!」
 胸を張ったおじいちゃんの横に、セーラー服にモンペ姿。二人とも頭にキリリと日の丸の鉢巻き。
「あ、それ、わたしの中学のときの制服!」
「やっぱ、出征のお見送りは、これでなくっちゃ!」
 想像してみて、八十ん歳のオバアチャンのセーラー服……!
 わたしは、十五分ほどで朝のいろいろやって(女の子の朝なんて、いろいろとしか言えません)かっ飛びで、家を出……ようとした。
 おばあちゃんが、どこにそんな力があんのよって感じでジャージの裾をつかんだ。
「ちゃんと、お作法ってのがあるんだよ」
「あ、わたし未成年だから」
 おじいちゃんが出した盃をイラナイしたら怒られた。
「ばか、こりゃ水杯(みずさかずき)だ。作法だよ作法……ばか、そんな、事のついでみたいにやるんじゃねえ。気をつけだ、気をつけ!」
 気をつけして、行こうとしたら、また裾をつかまえられた。
「挨拶だよ、挨拶」
「行ってき……」
 まで言うと。おじいちゃんが叫んだ。
「仲まどか君の出征……もとい。体験入隊と!」
「武運長久を祈って!」
 と、おばあちゃんが受けた……そのころには、家族や近所の人たちが目をこすりながら出てきちゃった!
「ばんざーい!」
 おじいちゃんの雄たけびを合図に、わたしは横丁まで世界新ぐらいのスピードで走った。
 もちろんハズイからよ。恥ずかしいの!!

 で、早く着きすぎちゃった。

 裏門には、まだだれもいない……と、思ったら、門柱の陰に気配。
「あ、乃木坂さん……どうしたの、その格好?」
「体験入隊、僕も付いていこうと思って」
 乃木坂さんは。ズボンのスネのとこをタイトなレッグウォーマーみたいなのでキリリと締め上げ、制服の上からは左右二個の物入れみたいなのが付いたベルト。背中には四角いリュックみたいなのをしていた。
「これはね、軍事教練の時の格好さ。あのころは嫌で仕方がなかったけど、君たちが体験入隊をするって言うんで、付いていってみようと思ってさ……捧げ筒!」
 プっと吹き出しかけた、で、あのことを聞いてみた。稽古場じゃ、里沙と夏鈴がいるので聞きそびれていたのよね。
「潤香先輩の夢の中に出てきたのって、乃木坂さんよね?」
「……うん。意識が戻って、いきなりこの三ヶ月の変化を知ったら、また頭の線切れそうだから。予備知識をね」
「潤香先輩、関根さんみたいだって言ってたけど」
「お姉さんの紀香さんの大切な人……それ以上は言えない。言えば、君は顔に出てしまうからね」
「マリ先生も同じこと言ってた……」
「世の中には、そういうこともあるんだ。大人になるためのピリオドだと理解してくれたら嬉しい」
 寂しそうに、でも温もりのある顔で、乃木坂さんが言った。
 そこへ忠クンが白い息を吐きながらやってきた。こちらは規定通りのジャージ姿。
「なんだ、まどかも早く来ちゃったのか」
「違うわよ。これは不可抗力なのよ……」
 朝のイキサツを話した。二人とも大笑い(むろん乃木坂さんのは、わたしにしか聞こえない)そうこうしているうちに、里沙と夏鈴がやってきた。里沙のリュックはコンパクトだけど、夏鈴のは冬山登山に行くくらいの大きさだった。
「なに、夏鈴、その冬山登山みたいなのは?」
「だって、お母さんがあれも持ってけ、これも持ってけって……」
「こりゃ、過保護か嫌がらせかのどっちかだわね」
 夏鈴が異議を唱えようとすると乃木坂を一台のトラックが登ってきた。今時めずらしいボンネットトラック。その濃緑色の車体は、素人のわたしが見ても自衛隊のトラックだった。
「ハチマルフタゴオ。到着」
 そう言って、「自衛隊」のおじさんが、「女性自衛官」を従えて降りてきた……で、幌着きの荷台から、峰岸先輩と……マリ先生が降りてきた!?
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