大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・あたしのあした・33『セクハラになってしまった』

2016-10-14 11:27:39 | 小説
高校ライトノベル
あたしのあした・33
『セクハラになってしまった』
      

 困ったことになった。

 早乙女女学院がプールの使用を断ってきたのだ。
 表の理由は「本校のクラブの使用と重なり、ご使用いただけなくなった」ということで、一応はお詫びの形をしている。
 だけど実際は違う。

 昨日のプール補講は熱が入っていて、水野先生が手取り足取り教えてくれて、プールの真ん中で挫折していたベッキーたちも二十五メートル泳げるようになった。
 あたしたちはプータレてはいたけど、うちの学校らしい和気あいあいの雰囲気の中で行われた。
 その雰囲気がとってもいいので、早乙女の水泳部の子たちは動画に撮ってネットで流した。
 むろん、事前に水野先生に学校を通して了解も得ている。

 が、これが裏目に出た。

 撮った方も撮られたほうも和気あいあいなんだけど、観た方はそうは取らなかった。

 水泳指導に名を借りたセクハラ! になってしまった。

 スク水の女子を腹這いにさせ、その足を掴んでキックのフォームを教えているのは、そういう目で見ればセクハラに見えるのかもしれない。失敗すると太ももやらお尻をペシペシと叩かれもした。
 でも、うちはそういう学校ってか、落ちこぼれ十三人の補講女子と水野先生ってのは、それで普通なんだ。
 プールの更衣室に覗きやら下着泥棒が入った時、先生はしっかり対応してくれて、師弟で協力して犯人を捕まえたりした。
 プールのポンプが故障して「任せとけ!」と胸を叩いて借りたプールが男子校だったのには「ちょっと先生!」で、なんとかしてよ、このオッサン! ということもあったけど、先生のことを憎んだりセクハラオヤジとは思っていなかった。

「ねえ、水野先生しばらく休みだって」

 遅れて食堂にやってきたノエチンがマサミのフライドポテトを掠めながら報告する。
「学校の予防線だな……」
 あたしは爪を噛んだ。
「あたしのフライドポテト食べてもいいよ」
 勘違いしたマサミがフライドポテトの袋を差し出す。
「あ、ありがと」
 メンバーに芽生えた友情の芽を大事にしたいので一つまみ口に頬張る。
「このまま沈静化しなかったら、休職とかにして年度末には転勤とかで幕を引く気でしょうね。学校は関係なしってスタンスだ」
 智満子が冷静な声で呟く。さすがは横田不動産社長の娘、分析が鋭い。
「先生とばされんの?」
「こないだお母さんが亡くなったとこじゃん、身軽になった分、容赦ないだろうね」
「先生かわいそうだ……」
 ベッキーが目を潤ませる。
「ベッキーって、水野先生嫌ってなかったっけ?」
「う、うん。でもさ、プールでお尻叩かれてもセクハラとかは感じなかったもん」
「あたしも、鈍感でうるさいオヤジだとは思ってたけど、ハリはあったよね」
 ネッチが呟く。
「あのさ、ひょっとしたらマスコミとか来るかもしれないけど、そういう時は『田中恵子に聞いてください』って言ってくれない? みんながバラバラに対応したら揚げ足盗られたり、都合のいいとこだけ取り上げられたりするから」
 みんなに忠告した。根拠なんてないんだけど、あたしに一本化しておくのがベストだという気がした。

 で、それは正しい判断だったのよね……。
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