大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・オメガとシグマ・56『あたしの渡り廊下』

2017-04-21 11:02:48 | 小説
高校ライトノベル・オメガとシグマ・56
シグマのターム『あたしの渡り廊下』




 渡り廊下の開放感が好き。

 解放感と言っても、グラウンドのような野放図な開放感じゃない。
 あたしは、ちょっとばかし広場恐怖症。
 グラウンドみたいなだだっ広い空間では落ち着かない。

 逆に、廊下とか教室とかもだめ。
 考えてみて、教室とか廊下で一人佇んでいたら、ひどく目立ってしまう。
「あいつ何してんだろう?」と思われたり「ちょ、じゃま」とか言われそう。

 渡り廊下は、その点ちがう。

 校舎と校舎を繋いでいるので、幅が廊下の倍ほどある。
 両側はガラス張りになっていて、程よく明るい。
 東側は中庭に、西側はピロティーに面している。
 面しているけど高さがあるので、外側からの視線は気にならない。
 だから休み時間や昼休みには、外を見ながらボーっとしている。
 ほかにもそんなのが居て、とても自然にボーっとしていられるので、学校の中では二番目にくつろげる。

 一番は……まだナイショ。

 なんで渡り廊下を語ったかというと、渡り廊下の窓から中庭を見ているオメガ先輩に声を掛けたから。
 廊下だったら素通りしている、すれ違っても目配せで挨拶するのが席の山。
 渡り廊下というのは、そう言う点、コミュニケーションのハードルを下げてくれる。
 思うんだよね、神楽坂高校六十八年の歴史、この渡り廊下で、どれだけの友情やら、初々しい恋の花が咲いたことか。
 あ、えと、オメガ先輩に恋心とかというんじゃないのよ、ないんだから。
 ぶきっちょなあたしが、気楽に声を掛けられた状況を説明したかったんです!

「先輩、なに見てんですか?」

 先輩はω口を倍くらいのωにして振り返った。
「静かに、あそこ見てごらんよ」
 先輩が小さく指さした先は中庭の藤棚で、ノリスケ先輩が居た。それも、誰かといっしょに居る気配。
「だれがいっしょなんですか?」
「こっちきてみ」
 二つ手前の窓に移動。
「あ…………」
 藤棚に隠れて胸から下しか分からなかったけど、女の子の姿が見えた。
 上履きの初々しい学年職色は一年生だ。
「どーよ」
 先輩がふってくる。
 なんだか微笑ましい。一年女子と語らっているノリスケ先輩も、こうやって渡り廊下から見ているあたしたちも微笑ましい。
「図書室の本を拾ってやったのがきっかけらしいよ(*^▽^*)」
「へー、そうなんだ。なんだかジブリのアニメみたい(#^.^#)」
「昨日なんだけどさ、ジュース買いに行くのにジャンケンしてさ、あいつが負けて、自販機に行く途中で見つけたんだ。世の中なにがキッカケになるか分からないなあ」
「そうですね」

 言いながら思った。

 ジャンケンに負けたのがオメガ先輩だったら、こんな風に微笑んでいられただろうか……。
 
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