大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・マリア戦記・エピソード01・08『病室の外が騒がしくなった』

2016-10-17 13:01:07 | 小説・2
高校ライトノベル
マリア戦記・エピソード01・08
『病室の外が騒がしくなった』



 オーイ、起きろよ! 起きろったらマリア!

 ……あれ?

 死んだら聞こえるはずなのに……マリアはコクピットの中で息絶えている。
 だのに、仏さんである俺の声が聞こえていない。てか、なんで俺が息苦しいんだ?
 変だなあ……不思議に思っていると、ゴトンと音がしてレスキューハッチが開かれた。

「マリア!」

 みなみ大尉が首を突っ込んでマリアの状況を確認する。
「仮死状態……男は来ないで! 良美、こっちへ!」
 良美と呼ばれた二曹が女性の衛生兵二人を引き連れて駆けつける。
「あ、これは……」
 コクピットのマリアは裸だった。
「コネクターでない衣服は衝撃に耐えられないんだ……ハッチの周りを毛布で囲んで……ヨッコラセっと!」
 大尉が腋を抱えてコクピットから引き出し、良美曹長が両足を引き出す。部下の衛生兵が毛布でくるんで自走タンカに載せていく。
「あれ、マリアなんだか握ってる」
 大尉がそっとマリアの手をほどくが、少し開いただけで、マリアの手はすぐに閉じてしまう。
「……これって過去帳じゃない?」
 マリアは制服がビリビリに破れていく中、無くさないように過去帳だけはしっかり握っているのだ。息苦しい原因がやっと分かった。

 そうか、兄である俺との絆を大切にしたんだなあ……仏さんでありながら、俺はウルっとしてしまった。

「これ握っていたんですか? ぜんぜん覚えてません……というか、あたしヨミと戦ったんですか?」
 病院のベッドで意識が戻ると、ベッド脇のみなみ大尉にトボケたことを言う。
「どこまで覚えてる?」
「ヨミの同期体が間もなく動き出す……お父さんが、そう言ったあたりまで……かな?」
「じゃ、無意識で戦っていたのね……」
「えと……あたし勝ったんですか?」
「みたいね、ヨミに体当たりかけたときはダメかと思った」
「体当たりかけたんですか?」
「たいへんな爆発がおこって……あれでヨミを倒すだけじゃなくて生還してくるんだもんね、マリアの潜在能力って想像以上なのかも」
 マリアはくすぐったそうな残念そうな顔をした。

 その時、病室の外が騒がしくなった。

「司令、困ります司令……」
 看護婦の制止を振り切るというか、ものともせずに親父が入って来た。
「意識が戻ったようだな」
「はい、たった今」
「お父さん」
「司令、これからいろいろ検査がありますから!」
 看護婦の額に青筋がたった。
「マリアは患者である前に特務師団の装備品なんだ。検査は軍がやる」
 そういうと親父はマリアの掛け布団を捲り上げた。

 マリアは怯えて裸の胸を隠した。
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