大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・時かける少女・89・スタートラック『ミナコ コンプリート・1』

2017-06-19 05:56:24 | 時かける少女
時かける少女・89スタートラック 
『ミナコ コンプリート・1』 
  

 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子(みなこ)は、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になってしまった……目覚めると、今度は西暦2369年であった。ファルコン・Zでの旅……いよいよ、ミナコ コンプリートへ。


 第3惑星にみとれて、気づくとコクピットのみんなが静止していた。

 バルスは、反重力エンジンのモニターを見つめたまま。
 コスモスは、第3惑星をアナライズしようと、アナライザーを起動させようとしたまま。
 ポチは、第3惑星の姿を見ようとして、背が足りない分、ジャンプしたまま。
 船長は、驚愕の眼差しで第3惑星を見つめたまま。
 ミナホは……立ったまま。だけど、呼吸はしていた。ガイノイドの擬似呼吸ではない自然な呼吸に見えた。

「ミナホ、あなた意識があるの……?」

 数秒遅れて、ミナホは小さく頷いた。
「でも、体が動かない……こんなの初めて」
「他のみんなは、人形みたいにフリーズしている。まともに動けるのは、あたしだけ……?」
「そうみたい。わたしは……」
「動き出した、どこへ行くの?」
「分からない。自分の意志じゃないわ……」

 ミナホは、中央のエレベーターに向かった。

「ミナホ……!」
「ミナコ、あなたも付いてきて……」
「待って、行っちゃだめよ!」
 ミナコは、ミナホの腕を掴もうとしたが、逆に腕を掴まれてしまった。
「ミナホ、どこに行くつもり!?」
「分からない……貨物室のよう……」
 ミナホは、第一層の貨物室のボタンを押した。
「ミナホ、いったい……」
 ミナホは、なにか言おうと唇を動かすが、もう声にはなっていなかった。

 貨物室につくと、驚いた。ハッチが開いている。開いたハッチからは第3惑星が大きく、いっぱいに見えた。船は、惑星の周回軌道を回っているようだった。

「うそ……成層圏なのに空気が漏れない」
 その信じられない状況に驚いている暇は無かった。ミナホがミナコの腕を掴んだまま、ハッチから船外に身を躍らせた。
「ミナホ、死んじゃうよ!」

 二人は手を繋いだムササビのように、成層圏を滑空し、やがて大気圏に突入。当たり前だが、空気との摩擦で熱くなりはじめた。
「あ、熱い……!」

 二人は隕石のように燃えながら、地上に落下していき、地上5000メートルあたりで燃え尽きて消えてしまった。

 あたし流れ星……それがミナコの最後の意識だった。

ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 高校ライトノベル・新 VARIA... | トップ | 高校ライトノベル・『はるか... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。