大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル🍑MOMOTO🍑デブだって彼女が欲しい!・48『クンパ・2』

2017-04-19 06:33:47 | ノベル
🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!・48
『クンパ・2』



 オレが「デミグラオムレツ」で桜子が「春のオムレツ」だった。

 互いに相手のが美味しそうだったので、一口ずつ相手のをすくって食べた。
「桃斗の……サフランライス?」
「桜子のはバターライスだな」
 オムライスでも、中のライスが違うようだ。
 中学の時も、このオムレツ屋に入ったんだけど、相手のを食べることはしなかった。
 間接キスとも言えない小さな飛躍、そんなことが心地いい。クンパに来ていなければ、この小さな飛躍もなかっただろう。
「フフフ……」
「ン、なんかおかしい?」
 オムレツの最後の一すくいを口に放り込みながら、桜子が笑う。
「なんだよ、気持ち悪いなあ」
「桃斗、リズムとってるよ」
「ん……あ?」
 園内を流れるクンパルシータに合わせて小さく体が揺れていることに気づく。
「知らないうちに中毒になっているのかも」
「そうね、クンパルシータは、曲名知らなくても聞いたことはあるもんね。ラテンでノリもいいし、一回ここにきて聞いちゃったら刷り込まれるかもね」
「かもじゃないよ。そうなるって」
「あたしはならないな。ムードには流されない」
「あ、オレ、ムードでどうこうなんて思ってないから」
「分かってるわよ。ここには二人の確かな思い出があるんだもん。それをトレースしにきた……でしょ?」
 桜子がニコッと微笑む。こいつの笑顔はほとんど凶器だ。

 絶叫系は午前中に回ったので、ふれあい広場とかティーカップとかの大人しめのアトラクションに回った。

「「最後は……」」
 ふれあい広場で兎と遊んでいて、二人の声がそろった。
「同じこと考えてたみたいね」
 お互いの視線の先にはクンパ目玉の観覧車が、ゆったりと回っている。
「この子も連れて行きたいなあ」
 抱っこした兎をギュっとして、桜子が言う。とても乙女チックだ。
「ハハ、可愛いこと言うんだな」
「桃斗が変なことしないようにね」
 桜子はジト目になる。

「ちょっと傾いてる……」

 ゴンドラが数メートルの高さになって、桜子が呟く。
「そうか?」
「百斗の方に傾いてる」
「錯覚」
「じゃ、入れ替わってみよう」
 狭いゴンドラの中で席を入れ替わる。どうしても体が触れ合って、桜子の匂いが襲ってくる。
 ドッキン!
「百斗の心臓がドッキンて鳴った」
「ジト目で言うな。替わろうって言ったのは桜子だろうが」
「やっぱ、桃斗の方に傾いてる」
「そんなことねえよ」
 桜子は徹底的にムードにハマることを避けている。観覧車に乗った意味が無い。
 沈黙の中、ゴンドラは観覧車の最上部を過ぎて行く。地上から聞こえるクンパルシータが虚しい。
「どうしたの? 地上に着いちゃうわよ」
「だってさ」
「根性無し、ここから始めなきゃ仕方がないでしょ。百戸百斗と外村桜子は、ここからやり直すの。でしょ?」
「あ、ああ」
「だったら、その決心を確認しよう」
「え、どうやって?」
「中学生のときと違うんだから……キスしよう」
「……!?」
 言うと同時に桜子の顔がドアップになり、唇に柔らかいものがフワッと接触した。
 で、そうと分かったころには、ゴンドラは地上に着いた。

 クンパルシータと心臓のリズムがいっしょになっていた……。
ジャンル:
小説
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