大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・『はるか 真田山学院高校演劇部物語・59』

2017-07-17 06:43:01 | はるか 真田山学院高校演劇部物語
はるか 真田山学院高校演劇部物語・59

出版された『はるか ワケあり転校生の7カ月』の原話ノーカット版。いかにはるかは生まれ変化していったか!?


アハハと笑いながら読み、高校演劇の基礎とマネジメントが分かる高演ラノベ! 


『第六章 おわかれだけど、さよならじゃない8』

 工場に入った……機械が一つもなく、五つほどの机にはパソコンが並び、知らない女の人が五人、パソコンとか電話に忙しげだった。
 みんなチラッと一瞥(いちべつ)はくれるが、空気のように無視された。
 わたしはシカトと無視の違いを体感した。
 シカトには、反感や侮蔑といった人間的な感情が潜んでいる。
 しかし無視はちがう。完全な無関心……。


「はるかちゃん!」

 懐かしい声が段ボールの箱を抱えて下りてきた。
「シゲちゃん!」
 工場で一番若かった茂田さんだ。
「いったいどうなっちゃったの? 森さんは? 田村さんは? 機械はどこへ行っちゃったの? この人たちはなんなの!?」
「そ、それはな……」
「……わたし、自分の部屋見てくる!」
「はるかちゃん!」
 シゲちゃんの声を背中に、わたしは自分の部屋のドアを開けた……。

 そこにはわたしの部屋だった痕跡は何もなかった。
 部屋の三方の壁にはスチールのラック。そして装身具や、小間物がビッシリと区分けして積まれていた。部屋の中央は段ボールに入った未整理の商品がいくつも……。

「はるかちゃん、覚えてる?」

「え……?」
 その女の人は、メガネを外して慇懃にお辞儀をした。まるで社長秘書のように……。
「あ……!?」
「思い出してくれたようね」

 古いのやら、新しいのやら、この人に関する記憶が、バグっていたパソコンが急に再起動したように思い出された。

 高峯秀美さん…………………………!

 前の会社で最後まで残って残務処理とかしてくれた、お父さんの秘書。
 南千住に来てからも、何度か会社の再建の話をしにきていた。
 そして、いつのまにか、お父さんとお母さんの間に割り込んできた人。

「連絡してくれたら、迎えにいったのに」

 転校した日に竹内先生が言ったのと同じ台詞を、お父さんが口にした。
 笑顔の蔭に隠しきれない戸惑いが見えた。
 アメチャンの代わりにシフォンケーキとミルクティーが出てきた。
「わたしの手作りだけど、シフォンケーキって、カロリー控えめでアレンジしやすいから、みんなのお八つ用につくってるの。お昼になったら三人でお蕎麦でも食べに行きましょ、A工高の近くに新しい蕎麦屋さんができたの」
「わたし、大阪の友だちといっしょにディズニーリゾートに行く途中だから」
「あら、お友だち待たせてるの。呼んでくりゃいいのに」
「図書館で待ってもらってます。昼前の電車に乗るから」
「ここもずいぶん変わっただろ」
「印刷屋はやめたんだね……………………これ、レーズンがいいアクセントになってますね」
 シフォンケーキで話題をそらす。
「お褒めいただいいて、どうも……この六月から、お父さんといっしょにこんなこと始めたの」
 出された名刺には、ネット通販「NOTION」vice-president高峯ヒデミとあった。
「あ、オレは……」
 お父さんの名刺はpresident伍代英樹。
「森さんと田代さんは?」
「お引き留めはしたんだけどね、印刷のこと以外は分からないって、おっしゃって……」
 身に付いた優雅さでミルクティーを飲む秀美さん。
「いや、シゲちゃん通して話はしてんだよ。なんたって、親父の代から働いてもらってるんだから」

 なんで汗を拭くの……。
ジャンル:
小説
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