大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・連載戯曲・すみれの花さくころ(宝塚に入りたい物語)7

2017-07-01 06:00:53 | 戯曲
連載戯曲
すみれの花さくころ(宝塚に入りたい物語)7

 

時  ある年のすみれの花のさくころ
所  春川町のあたり

  
人物 

すみれ  高校生                        
かおる  すみれと同年輩の幽霊
ユカ   高校生、すみれの友人
看護師  ユカと二役でもよい
赤ちゃん かおると二役


すみれ: ごめんね。やっぱり宝塚はピンとこないや……。
かおる: うん……いいよ(去りゆく飛行機から、すみれに視線をうつす)その本ね、あたしのことも載ってるんだよ。
すみれ: え、ほんと?
かおる: 戦争中のところを見て。「戦時下の女性たち」ってとこ。
すみれ: ええと……ここ? 「……戦争で沢山の女性が犠牲になりました。特に三月十日の空襲では……」
かおる: ほら、この写真。
すみれ: なに、これ……?
かおる: まっ黒に焦げてつっぱらかってる……たぶん右から三番目があたし。
すみれ: うそ!?
かおる: 死んでしばらくはね、納得がいかなくって、このまっ黒の焼け焦げが自分だって信じられなかった。
 でも、さっきの石田さんみたいな幽霊さんがいらっしゃって、時間をかけて分からせてくださったの。      
すみれ: この黒焦げが……。
かおる: あたしね、最初はちゃんと避難したんだよ。でもね、宝塚の譜面を忘れちゃって、とりに戻ったのが運のつきだった。
すみれ: そうなんだ……。
かおる: あたしって忘れものの名人だから。
すみれ: ごめんなさい、力になれなくて。
かおる: いいよ、きっとまたいいことが……ほら。
すみれ: メール?
かおる: 小林さんからだ……霊波動の適う人が見つかったって!
すみれ: それそれ、それこそが運命の人よ!
かおる: 「適合者の氏名は八千草ひとみ。詳細は不明なるも、宝塚ファンでRHマイナスの霊波動。
 至急こられたし、霊界宝塚ファンクラブ会長小林一三(こばやしいちぞう)」
すみれ: やったー!
かおる: やったー、やったー、やったー! ちょっと行ってくる。ちゃんともどって報告するからね。
すみれ: うん。友だちだもんね。
かおる: そのあいだ退屈だろうから、宝塚の体験版でもやってて。一曲だけだけど、あたしがアシストしてるみたいに歌えるわ。

 すみれに向けて、スマホのスイッチを入れ、かおるは消える。

すみれ: かおるちゃん!……え、なにこの音楽……勝手に体が……。

 宝塚風の歌を一曲、明るく元気に歌いあげる(できれば、コーラスラインなど入り宝塚風になるといい)
 歌い終わって呆然とするすみれ。ユカが拍手しながらもどってくる。


ユカ: すみれ、すごいよ! さっきは照れてあんな言い方したのね……しぶいよ。 いつの間に練習したのさ!?
すみれ: これはね、つまり……ユカこそどうしたの、学校行ったんじゃないの?
ユカ: うん、表通りまで行ったら号外配っててさ。
 なんか分かんないけど、アラブとかの方で戦争始まっちゃったみたい。
 日本のタンカーが巻き添えくって燃えてるらしいよ(無対象の号外を渡す)
すみれ: さっきの……(飛行機が去った方を見る)
ユカ: かもね(すみれにならう)すみれの歌といい、戦争といい、世の中何がおこるかわかんないね。
すみれ: 学校行く?
ユカ: ううん。きっとうちの担任まいあがっちゃってるよ。
 あの先生、口では平和とか命の大切さとか言ってるけど、人の不幸にはワクワクしちゃうほうだから、
 今は進路相談どころじゃないよ。駅前の本屋さんでも行ってくるわ、志望校の本とか見に。
すみれ: とかなんとか言って映画とか行っちゃうんじゃない? ジブリの新作やってるから。
ユカ: かもね、アハハ……すみれも、宝塚とか、本気で考えていいんじゃない? ほんといいセンいってると思うよ!(去る)
すみれ: そんなんじゃないってば! そうじゃないんだから。

ジャンル:
小説
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