大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・〔普通科高校の劣等生・1〕

2017-12-14 06:39:18 | 小説4

ライトノベルセレクト
〔普通科高校の劣等生・1〕



 魔法科高校ならカッコがつく。

 普通科高校では洒落にならない。敬遠はされるが、同情はされないし友情も持ってもらえない。
 でも、オレはあんまり気にしない。並の劣等生じゃない。なんせ、学年でたった一人の留年生だ。三学年を通じて成績が原因で留年しているのはオレ一人だから、もうスコブル付きの劣等生。

 昨日、二回目の修学旅行から帰ってきた。そう、オレは二回目の二年生をやっている。

 二回行って分かった。

 修学旅行は前回と同じ沖縄二泊三日。組合の先生には悪いが、反戦学習の修学旅行は止めた方がいい。理由は書くと長いのでよす。ただ一言、あの戦争を反戦の立場からだけで教育すると、日本人やってるのが嫌になる。

 だいたい、オレは学校の教師を尊敬できない。

 東京大学を出た先生が二人いる。一人は数学、一人は国語。数学はご丁寧に去年も今年もいっしょ。二人とも落第した最初の授業で、オレの顔を見て驚いていた。留年生は進級判定会議で、時間をかけて審議される(落ちた時、担任が『いったいどれだけの時間をおまえの審議にかけたか!』と恩ぎせがましく言っていた)にもかかわらず、オレのことを覚えていない。学校でたった一人の落第生なのにさ。

 魔法科高校じゃないから、魔法は使えないけど、並の生徒には見えないものが分かる。

 東大出て、公立高校の教師ってドーヨ。

 能無しを絵にかいたようなもんじゃん。教育改革の志高く、あえて教師をやったというのなら、まだ尊敬の余地はある。でも、学校で、ただ一人落第した生徒も憶えていないようじゃ、会議もロクに聞いていない証拠。

 社会でM大学を出た先生がいる。近在でも最底辺の大学で、教員採用試験に通るような学生は、まずいない。この人は高校でも大学でも落第し、講師を三年やってやっと採用試験に通った強者。最初の授業は感動した。講師二年目の春にお父さんが亡くなり、切羽詰って勉強したら通ったという一発屋。授業の最初にゼロの概念について教えてくれた。『永遠のゼロ』から脱線しての話だった。

「100-100はゼロだ。1億にゼロを掛けてもゼロだ。そして、ゼロを目に見える形では表現できない。でも感じることはできるよな」

 先生は、そう言って教卓の上を示した。

「何もない。これは無だ。でもここに、一本のチョークを置く。ここにマイナス1チョークとする……何もない教卓に戻ったが、これはゼロだ。無と似てはいるが、マイナス1というドラマがあったという点で決定的に違う。分かるかなあ……ここにX=1 Y=1の点がある。ところが、点と言うのは面積を持たない。だからここに描いた点は座標軸を示す記号に過ぎない。どう黒板に描いてもパソコンのモニターに出しても面積をもってしまうからな。面積のあるものは点じゃない。この点を目に見えるように示すことは不可能なんだ。しかし、君たちはゼロも、この点も頭の中では明らかに認識できる。出来たな!? これが物事を理解するということだ! 出来たということは高校生として十分な能力があるということだ!」

 ロジックの技なんだろうけど、この説得力には感心した。しかも天下の劣等M大学の出身なのだ!

「……今年も同じ話してたよ」

 妹が、家に帰ってからうんざり顔で言った。ちなみに妹とは同じ学校の一年違い……つまり、落第してからは同じ学年。しかも同じクラスになってしまった。M大学の先生は選択授業が違うので、オレは今年は受けていない。M大学の先生の評価は、オレの中でワンランク下がった。

 ちなみに、妹とはクラスでは他人の顔をしている。親が離婚しているので苗字が違う。妹が入学したらバレルかと思ったが、学校は苗字が違うということで、他人と思っている。学校に出した書類には同じ住所になっているのに。学校がいいかげんな証拠。

 え、なんで親が離婚したのに住所がいっしょ? 鋭いツッコミ!

 それは、また明日のお楽しみ。 

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