大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 04『バアチャンと恵美さんが同時に時めいた』

2017-06-16 12:35:31 | ノベル
 高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 
 04『バアチャンと恵美さんが同時に時めいた』





 帰宅部エースの俺は、放課後は真っ直ぐ帰る。

 ここを曲がると自分ちが見えるというところで、気配がした。


 モモとココの気配だ。
 一見猫の名前のようだが、れっきとした秋田犬、まだ子犬なんだけどな。
 それが、玄関前の犬小屋に居る。
 
 ファンファン! ファンファン!

 向こうも気配を感じたようで、挨拶をし始めた。
「おー、一週間ぶりだな、おまえら元気にしてたか!?」
 犬小屋から出てきた二匹が、俺にじゃれかけてくる。俺は両脇に抱えてワシャワシャとしてやる。
 まだ子犬のせいか、ワンワンとは鳴かない。
 どこか空気が抜けてるみたいにファンファンと鳴く。

「あら、坊ちゃん、お帰りなさい!」

 お手伝いの恵美さんが玄関から出てくる。この人の声を聞くと、グータラな俺でもシャッキッとしようかと、一瞬だけだけど思ってしまう。
「大奥様、坊ちゃんが帰ってこられましたよ」
 家の奥に向かって声を掛ける恵美さん。

「お帰り~新ちゃん~」

 のどかなバアチャンの声。
 俺は、週一回のバアチャンの訪れが嬉しい。
「洗濯物溜まってたわよ、どう、もう観念して一緒に暮らそうよ」
「あ、わりー、またキチンとやっから」
「掃除もこまめにやらなきゃ、この季節は油断するとカビが生えるわよ」
「あ、うん、エアコンの掃除だけはやっといたんだけど」
「みたいね、恵美さんにみてもらったら、やってないのは新ちゃんの部屋だけだったって」
「ハハ、いつでも出来ると思うと、ついね」

 この家には七台のエアコンがある。

 ちょっと多いと思うだろうが、リビングとキッチンの他にも部屋が六つもある。
 延べ床面積は二百平米ほどある。
 世間の基準ではお屋敷の部類に入るかもしれない。
 これでも駅三つ向こうの本宅の半分もない。ここは、親父がいくつか持っている別宅の一つなんだ。
 その別宅に、俺は妹の舞と二人暮らしなんだ。

 四月に、今の高校に入るのにあたって、舞と二人、学校に一番近い、この別宅に移り住んだ。

 最初は、バアチャンが恵美さんと一緒に住むはずだったんだけど、それは、俺も舞も断った。
 いろいろ理由はあるけど、ま、自由にやりたい……ということかな。
 舞と俺との意見が一致する、数少ないポイント。
「大丈夫、俺たちきちんとやるから」
 誓ってはみたものの、俺も舞も高校一年生、加えて、この家の広さ。
 週に一度、バアチャンは恵美さんを連れて、至らぬところを片付けてくれる。
「どうです、坊ちゃん、モモとココ置いていきましょうか」
 好物の水ようかんとお茶を出しながら、恵美さんが、もう何度目かの提案をする。
「いや、やっぱ、面倒見きれないから通いで良いよ」
「そうですか、あの子たち、週に一回だけだけど、ここが自分の家だと思ってるみたいですよ」
「あ、そだね。犬小屋も居心地良さそうだったもんね」
「でしょ!?」
「でも、きちんと世話できないから」
「ハハ、新ちゃんは正直だ。ハッタリとか、その場の思い付きだけで決めてしまわないのは美徳なんだけどね……」
 俺は――そうだろ――という屈託のない笑顔を向けておく。

 モモとココは、ペットが欲しいという舞の意見で決まった。

 二匹の名前は、話が決まった時に舞が付けた。
 でも、名前から分かると思うんだけど、舞は猫のつもりでいた。
 猫なら、家の中で手数もかからずに飼えるが、犬は散歩に連れて行ったり仕付けをしたり手間がかかる。
「犬ならいらないや」
 そういうことで、モモとココは週一回の通いの犬になっている。

 まだまだ説明しきれていないけど、ま、少しずつ分かってくれたらいいさ。

「マイマイはどうしてるの?」
「あいつ……」
 二つの変化があったけど、俺は一つだけ話した。
「モデルの誘いがあるみたいなんだぜ」

「「え、モデル!?」」

 バアチャンと恵美さんが同時に時めいた。

 
ジャンル:
小説
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