大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・時かける少女・85・スタートラック『さよならアルルカン・1』

2017-06-15 06:16:27 | 時かける少女
時かける少女・85スタートラック
『さよならアルルカン・1』 
    

 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子(みなこ)は、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になってしまった……目覚めると、今度は西暦2369年であった。ファルコン・Zでの旅……ベータ星のターベで反乱が。


 ターベの反乱は四:六で、反星府軍の旗色が悪くなったところで終わった。

 ベータ星内のもめごとは、ある程度のところまでいくと国王がタオルを投げる。けして片方を殲滅するところまではやらない。
 長年のベータ星の歴史の中で、ベータ星人が身につけた知恵である。
 最初は、母星のガンマ星と同じく共和制をとっていたが、争い事が絶えず、その度に多くの犠牲者を出し、星府の方針もコロコロ変わり、ガンマ星につけいる隙を与えてしまった。それが今のガンマ星との戦争になっている。

「ラムダ将軍。あなたが、このベータ星を思う気持ちは、わたしも、星府も同じなのです。ただ、やり方が違うのです。わたしたちは、あくまでベータ星とガンマ星の共存を……将軍は、禍根を断つためにガンマ星との決戦を主張しています。そこだけが違うのです」
「わたくしは……」
「ベータ星を繁栄させることで、手を取り合いましょう。ベータ星人同士が戦って、ただでも少なくなってきているベータ星の若者の命を危険に晒すことは避けましょう」
「殿下……」

 これで一件落着である。王室という権威が間に入ることによって、敗北した者も誇りを失わずに済む。そして、いくらかの意見を勝った方が飲み、丸くおさめるのである。
 こういう権威のあり方が優れていることは、地球でも、タイや日本で立証されている。

 今回の場合、問題は、ガンマ星であった。

 どうやら、ガンマ星は、ベータ星の水銀還元プラントに興味があるようだった。副産物としてできる金のことを嗅ぎつけ、それを我がモノにせんと虎視眈々の様子である。

「先帝ご葬儀に臨席した地球の大使が……」
「承知しています、将軍。手は打ちつつあります。ほんのしばらくわたしに任せてください。そして、それがダメなら、星府と話し合い、必要な処置を講じてください」
「しばらくとは……?」
「僭越であるぞ、ラムダ」
「よいのです、ゼムラ大臣。一週間と思ってください。おそらくうまくいくと思います。成否いずれにせよ、これは国王としては越権になります。記録には残さないでください」
「殿下は、まだ女王に即位されておられません。王女の行動記録は、今までとったことがございません」
「ありがとうゼムラ大臣。では、三日は連絡をとりません。万一のときには帝室典範にのっとり妹のアンに皇位を」
「殿下……!」
 大臣と将軍が同時に声と腰を上げたが、王女は笑顔で、それを制した。

「本気ですか、王女!?」

 マーク船長が悲鳴のように言った。
「この三日間は、ただのマリアと思って。あなたたちと力を合わせなければ、この銀河の危機は救えません。そう、たった今から、わたしは予備役のマリア中尉です」
「中尉? 王族の人間なら、訓練中に大尉にはなっているんじゃ……」
「内緒だけど、シュミレーション戦闘で、間違えて味方の一個大隊を全滅させちゃったの。で、頑固なラムダ将軍が、大尉にしてくれなかったの。成功したら大尉にしてもらうわ。みなさんよろしく!」
 ミナコたち、クルーは驚いたが、マリア王女……マリア近衛中尉は、さっさと自分の荷物をキャビンに運び入れた。

 さよならアルルカン作戦が始まった……。

ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 高校ライトノベル・新 VARIA... | トップ | 高校ライトノベル・『はるか... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。