大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!・19『最新の鞄やろー!・3』

2017-03-21 06:55:07 | ãƒŽãƒ™ãƒ«
🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!・19
『最新の鞄やろー!・3』
 

 デブの演劇部員は妻鹿悦子という名前であることが分かった。

 一言コーナーの模造紙には、大山満世という役の名前でしか書かれていなかったので、日誌を読んで、初めて分かった。
――三人……嗚呼、国富高校始まって以来の最少人数の演劇部! でも、だからこそ、きっと出来ることもあるはず!――
 日付を見ると二十年前。廃部寸前の心細さと、諦めないファイトが読み取れた。
――一人芝居でやるしかない。半葉(なかば)も小夜も役者で出て欲しいけど、無理は言えない。やっるっきゃないか!――
 悦子は苦労していたようだ。どうやら、いろんな苦労を一人でしょい込むタイプのようだ。
――あたしが一人芝居をやるしかない。デブ女の一人芝居……探せばきっとあるだろう! 探すぞ!――
 悦子は、ポジティブなデブのようだ。ガンバレという気持ちになってきた。
――そんな都合のいい本は、なかなか見つからない。でも希望は捨てない――
 がんばれ悦子! という気になる。
――『夕鶴』をデブのあたしがやる! ってどーよ?『まあ、こんなに痩せてしまって……』この台詞はウケると思う!――
 アイデアだ、捨て身で笑いを取ろうという気持ちは大絶賛されていい。
――やっぱ、半葉も小夜ものってこない。いろいろ理由は言うけど、『夕鶴』をやったら、二人とも役者で出なくちゃならない。役者で出るのが嫌なんだろう。無理は言えない、考えよう――
 こうまでして芝居をやりたいというのは、オレの理解を超えている。でも、悦子の頑張りで、先を読んでしまう。
――もう二週間探した。デブの一人芝居ってなかなかない。「一本刀土俵入り」なんてのはあったけど、男の芝居だ。それに、やっぱ高校生の心情とか問題を感じる芝居がしたいし――
 単にやりたいというだけではなくて、悦子さんにはコンセプトがあるようだ。

 それからは、しばらく日付だけで中身のないペ-ジが続く。

――デブでなきゃ、一人でもやれる芝居はある……デブであることが恨めしい。半葉も小夜も分かっているのか、昨日からクラブに来ない。なんときゃしなきゃ――
――ネットで同じような悩みの子を発見。長文だけど面白かった。まるで自分の事のよう……そっか! 自分のことを書けばいいんだ!――
 
 悦子さんは、閃いたんだ!

――あたしには早合点なところと鈍いところが同居している。イイコちゃんブッテいるけど自分でも嫌になるところもある。デブなのに神経は細い。そういうところをありのままに……でも、単なる告白劇じゃ独りよがり、エンタメ性がいる。これは難問だ――

 それからの部活の様子は専門的すぎるので読み飛ばした。
 でも、苦労の末に『山のようなインナー(取り扱い注意)』が生まれたことは確かなようだ。

 稽古中は忙しいようで、稽古の内容など事務的なことしか書かれていなかった。
 ただ、県大会の日に一言だけ。

 最新の鞄やろー! とだけあった。
ジャンル:
小説
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