大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・マリア戦記・エピソード01・04『ドーン!!』

2016-10-12 10:27:47 | 小説・2
高校ライトノベル
マリア戦記・エピソード01・04
『ドーン!!』


 車を路肩に停めたみなみ大尉は、マリアを引きずるようにして路地に跳び込んだ。

「どこへ行くんですか!?」
「シェルターよ! 万全じゃないけど地上にいるよりはまし!」

 ウィーーーーーー

 ビルの谷底から見える四角い空を巨大な何かがよぎった。
「みなみさん、あれは!?」
「あれがヨミよ」
「あれが……」
「さ、急ぐわよ!」

 俺もぶったまげた。二十年前に東京とその周辺を壊滅させたヨミのことは知識としては知っていたが現物を見るのは初めてだ。
 瞬間見えたそれは、巨大なクジラを連想させ、圧倒的ではあったけど、かっこいいと感動してしまう。
 流行りのレトロな表現でいうところの仮想現実に慣れた俺たちは、瞬間圧倒されても、我が身に直接危害が及ばないとゲームのラスボスに出会ったようにしか感じない。
 しかし、三つ角を曲がって目に飛び込んできた光景は、凶暴なリアルだった。

「なんてこと……」

 それまで敏捷にマリアをリードしてきたみなみ大尉は立ちつくしてしまった。
 マリアは大尉に手を繋がれたまま青ざめてしまった。俺は胸ポケットの中でマリアの止まらない震えを感じていた。
 仮想現実は視覚的にはリアルと区別がつかないが、リアルには熱と臭いがある。

 そこは、大地に骨格があったとしたら大きく陥没骨折をしたような感じだ。

「シェルターが壊滅している……」
 陥没骨折の亀裂からはホコリとも煙ともつかないものが噴きあがり、それは見る見るうちに炎に取って代わらた。
 数百メートル離れたここには圧を持った熱と臭いとして届いてくる。
「ウ、この臭い」
 マリアは制服の襟を引き寄せて鼻と口を覆った。
「崩れた鉄筋とコンクリートが焼ける臭い……人が焼ける臭いも混ざってるわ」
「シェルターに居た人たちは?」
「ここは過去のどんなヨミの攻撃からも耐えられるように作られていたんだけどね」
「あ、あれは?」

 その時、西の方角から大量のミサイルが飛んでくる音がした。

「軍の攻撃が始まったの?」
「ええ、でも時間稼ぎにしかならないでしょうけどね……」
 やがてミサイル群が飛んで行った彼方で小さな太陽のような光のドームが膨らんだ。

 ドーン!!

 遅れて衝撃がやってきた。大量のミサイルが同時に命中した衝撃だ。これならゴジラであってもやっつけられたと思った。
「さ、その交差点で救援を待ちましょう」
 やがてやってきたオスプレイに救助されて現場を離れる。
 数キロ離れた海上にヨミの上半分が突き出ている。なんだかオデンの出汁の中に一つ残った玉子のように見える。
「球体に近い姿が一番衝撃に強いの。ダメージを受けてはいるけど、ヨミはすぐに復活する……」
 そう言われると、玉子に似たヨミは僅かに鼓動しているようにマリアには見える。
「怖い?」
「えと……オスプレイの振動です」
「頼もしいわ、マリア」
 大尉はマリア頭を撫でた。ふだんこういう子供にするようなことをされると嫌がるマリアだったが、ベースに着くまで大人しくしていた。
  
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 高校ライトノベル・ライトノ... | トップ | 高校ライトノベル・タキさん... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。