大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・時かける少女・29『プリンセス ミナコ・11』

2017-04-20 06:27:28 | エッセー
時かける少女・29 
『プリンセス ミナコ・11』 
       

 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子(みなこ)は、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になっ。てしまった……今度は2013年の大阪から始まった。なんとミナコはプリンセスに!



 墜ちたヘリコプターに乗っていたのは、全員が人形だということが分かった。

 つまり、実物のヘリコプターをラジコンにしたようなもので、ミナコ放送のそれに、良く似せてあるがニセモノであることが判明した。
 ローテ・クレルモンの人形が乗っていたことは、数台のカメラに写っており、クレルモン家にも疑惑の目が向けられたが。
「そんな、見え透いたことを当家がやるわけがないし。理由もない!」
 クレルモン公はきっぱりと否定した。
 爆発物が仕掛けられていたわけでもなく、女王やミナコが乗った車を狙ったものでもなく、ひどく悪質な嫌がらせであろうと思われた。

「犯人は、海の上のクルーザーからコントロールしていたようですが、事件後、CU国の港に入って、車で逃走しています」
 女王はテレビのボリュームを落とした。
「わかりました。調査はそこまでにしましょう」
「やはり……」
「たぶん。国際的なテロでないことが分かれば十分よ」
「では、発表は?」
「国際的テロの疑い。マスコミもそう見るでしょう。曖昧な表現がいいわ」
「承知しました……」

 ダニエルが姿を消すと、マスコミの取材を終えたミナコが戻ってきた。

「お祖母ちゃん、あれでよかったかしら?」
「その前に、きちんとお辞儀」
「あ、はい女王陛下」
 ミナコはぎこちないお辞儀は、テイク3までやって合格。
「ミナコが飛び出したときはびっくりしたわ」
「すみません。軽はずみでした。ローテの姿が見えたのでつい……」
「世界のジグソーパズルは、日本ほど単純じゃないの。今は、それが分かればいいわ。インタビューも自分の軽はずみを恥じていることが、共感を呼んだようでけっこうでした」
「ありがとう、お祖母様」
「疲れているでしょうが、今夜は歓迎晩餐会です」
「はい」
「課題を一つ」
「なんでしょう?」
「ローテと仲良くなる……」
「いきなりですか?」
「とっかかりができれば、合格。それが、あなたのジグソーパズルよ」

 女王は、軽く微笑んだが、ミナコには、とても重いことに思えた……。

ジャンル:
小説
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