大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・あたしのあした・38『ありがとうございました!』

2016-10-19 10:55:02 | 小説
高校ライトノベル
あたしのあした・38
『ありがとうございました!』
      

 ベッキーは沈んでしまった!

 二本目の50メートルを泳ぎ切り、ゴールと同時に気を失ったのだ。
「「「「「「「ベッキー!」」」」」」」
 みんなが叫ぶ、水野先生は直ぐに隣のレーンから潜って沈んだベッキーを抱え上げ、プールサイドに引き上げた。
「オーイ、別役っ!」
 頬っぺたを叩いても意識が戻らないので、先生は慣れた手つきでベッキーの顔を横向きにして水を吐かせた。
「横田、別役の手を握ってやれ!」
 智満子にそう言うと、先生はベッキーの起動を確保し人工呼吸を始めた。

 みんなが見守る中、一分足らずで意識を取り戻したベッキーは爆発したように泣きじゃくって先生にしがみついた。

 ウワーン!

「よくやった、よくやったぞ別役!」
「ほんと、立派に泳ぎ切ったわよ!」
 智満子もベッキーの背中を抱きしめた。
 そのあと、病院に行こうという先生を押しとどめてベッキーが言う。
「その前に、水泳補講の終了宣言やってください」
 あたしたちも賛成だ。嫌々始めた補講だったけど、いろんな人たちに助けられたり叱られたりするうちに、ほとんど自分の生きがいになってしまった。
「よし、じゃ、みんな並べ」
 あたしたちはプールサイドに整列した。
「それでは、これをもって本年度の水泳補講を終わります。みんな、この一か月がんばったことを忘れず、これからも体育の授業に励んでください。そして、快くプールを貸してくださった早乙女女学院のみなさんにもお礼を言おう」
 みんなで、反対側のプールサイドにいる早乙女女学院水泳部の人たちに向かった。
「せーの」
 智満子が、自然にリードする。
「「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」
「「「「「「「「こちらこそありがとうございました!」」」」」」」」

 早乙女さんたちからもお礼の言葉が返ってくる。
「わたしたちも、これでお終いなので、みなさんと一緒にやれたことで有終の美を飾れました」
 部長の白浜さんの言葉に、あたしたちの頭は?マークでいっぱいになった。
「お終いって……」
「お分かりになっていませんでしたか? わたしたちは水泳部であってタヒチアンダンス部なんです」
 白浜さんが合図すると、タヒチアンダンスの頭のところが流れた。すると、水泳部の子たちは水着姿のままダンスの冒頭部分を踊った。

「「「「「「「「アーーーーー!!」」」」」」」

 タヒチアンのコスと水着とではずいぶん違うので、言われるまで気づかなかった。
「二つのクラブを兼ねるのは、もう限界です。滋賀のコンクールではみなさんに助けていただきましたが、結果は出せませんでした。でも、コンクールよりも、みなさんに観ていただいて感動していただいたことが何よりの収穫でした。これからは水泳部一本になります。心細くはありましたが、これで悔いなく前に勧めます……ほんとうに、ありがとうございました!」
「「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」」

 あたしたちは心の底からの拍手を送った。姫野女史たち毎朝テレビのカメラが回っていることも忘れて……。
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 高校ライトノベル・あすかの... | トップ | 高校ライトノベル・タキさん... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。