大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル🍑MOMOTO🍑デブだって彼女が欲しい!・50『え……!?』

2017-04-21 06:43:24 | ノベル
🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!・50
『え……!?』



 アゴアシ付き、一日12000円。

 なんとも魅力的なアルバイトだ。いや、魅力的すぎる。
 ひょっとしてヤバイ仕事だろうか……? 

 うかつにも、八瀬が電話してきたときに聞くのを忘れた。春休みの朝という弛んだ時間のせいか、お袋が若作りして泊りがけのバイトに行くと宣言したためか、桜子との繋がりがもどったせいか。
 八瀬に訊ねればいいんだという当たり前の結論に達した時には、集合場所の駅前ロータリーに着いてしまった。

 集合場所には、オレと同年配のアンチャンが10人ほどたむろしていた。で、その半分がオレといい勝負のデブだった。

「エキストラのバイトだ。デブ以外は10000円なんだぞ」
 集合した人間のチェックをしながら、八瀬が恩ぎせがましく言う。黒のパーカーにウエストポーチをした姿は、なんだか手配師のイメージだ。やがて迎えのバスがやってきた。
「おお……!」
 バスの中には先客のアンチャンたち、その半分以上が、やっぱりデブだった。
「デブのエキストラって、どんな役なんだ?」
「まあ、着いたら分かる」
 そう言うと、八瀬は一番前のシートでキャップを目深にして眠り始めた。
「急な変更だったので、人集めが大変だったんですよ」
 八瀬の横に座っていたスタッフ風がにこやかに答える。答えるけれど、詳しくは説明してくれない。周囲のデブたちの顔を窺うが苦笑いが返ってくる。どうやら、みんなも分かっていないようだった。

 バスは一時間ほど走って、国富大学の門をくぐった。

「体重100キロ越えの人は付いて来てください」
 女性スタッフが、停車したバスに乗り込んできてデブたちを誘導した。
「これは、流行りのラグビー部員のエキストラじゃないかなあ」
 オレの横に居た気の良さそうなデブが呟いた。じっさいグラウンドでは本物のラグビー部のアンチャンたちが練習に余念がない。

――おはよう、今朝からエキストラのバイト。どうやらラグビー部員の役のようだ!――

 桜子に、グランウンドのラグビー部員たちの写メを付けてメールを送る。
――スゴイじゃん! 桃斗はやっぱ、ただのデブじゃなかったんだ! あたしもエキストラとかやってみたいな!(#^.^#)!――
 可愛い返事が返ってきた。桜子の引っ越しまで7日あまり、少しでもいいイメージを、少しでも近づいてと願った。

「じゃ、100キロ越えのみなさんは、こちらに」

 さっきの女性スタッフが誘導してくれた。
「みなさん、突然にもかかわらず、引き受けてくださって、本当にありがとうございました」
 女性スタッフは、歩きながらではあるが、目を潤ませて挨拶してくれる。なんだか、とてもいい人なんだと感動する。
「じゃ、こちらです」
 案内されたのは教室二つ分ほどの会議室のようなところだった。部屋の窓からはラグビー部の練習が間近。窓際近くの外はゼミテーブルが置いてあって、マネージャーらしき女子学生の後姿が見える。スコアを付けているのが、とても甲斐甲斐しい。
 キャプテンだろうか、筋骨たくましいのが寄ってきて話しかけ、女子学生は、一言二言言って、スコアの説明。なんか、そのやりとりが、とてもイカシテいる。筋骨の白い歯が、オレが見てもカッコいい。
「それでは、説明しますので、注目してください」
 いかにも監督風のサングラスが入ってきて、説明を始めた。
「みなさんには『スクラム!』というドラマのエキストラをやっていただきます」
 スクラム!……いいタイトルだ。
「このドラマは、大学のラグビー部を舞台にしたもので、青春群像劇と言っていいでしょう。みなさんはエキストラではありますが、撮影の進展によっては、群像劇ですので、スポットライトが当たることもあります。臨機応変に発展させようと思いますので、励んでください」
 もうスポットライトが当たっているような気がしてきた。
「臨機応変に出てきたパッションで台本にも手を加えます。加えました。結果、とてもいいアイデアが浮かび、急きょラグビー部を……相撲部に変更いたします!」

「「「「「「「「「「「「「え……!?」」」」」」」」」」」」

 デブたちの驚きが、部屋の壁や窓ガラスを震わせたのだった……。
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 高校ライトノベル・VARIATION... | トップ | 高校ライトノベル・トモコパ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。