大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 17『グッときてしまったからなんだ』

2017-07-12 12:35:33 | ノベル

メガ盛りマイマイ 
 17『グッときてしまったからなんだ』




 真空カマイタチキックをかまされたせいじゃない。

 グッときてしまったからなんだ。

 そりゃあ、真空カマイタチキックは恐ろしい。
 舞が本気で真空カマイタチキックをかましてきたら、ガチで首の一つや二つは飛んでしまう。
 それが耳たぶの端っこが切れただけで済んだのは、舞が手加減していたからだ。
 ブチギレながらもわきまえてやがる。
 
 俺がグッときてしまったのは、夕べの風呂だ。

 右足の靭帯を痛めていたので入浴の介助をやってやった。
 慣れないことというよりも、恥ずかしさからジタバタしやがるので、バランスを崩して兄妹揃って湯船に落ちてしまった。
 その時に見てしまったんだ。

 舞の右足の付け根に赤斑が出ているのを。

 この赤斑は、舞の心がいっぱいいっぱいになったときに現れる。
 ほんのガキだったころに庭の木に上ったことがある。
 舞は、まだ「オニイチャン」とあどけなく慕ってくれていて、なんでも俺のやることを真似していた。
 だから、俺が木に登れば舞も真似をした。
 舞の真似は少し変わっている。
 普通は、兄貴が上ったあとを付いてくるものなんだけど、あいつは、俺が登っているのよりも大きな木を一人で上り始めた。
「それ以上登ると危ないぞ!」
「まだまだいけるもん!」
 意地を張った舞は、俺のことを見下ろせるところまで上っていきやがった。

 で、下りることが出来なくなってしまった。
「お、下ろられるもん!」
 強気で返事はするが、震えているのが俺からでも分かった。
「待ってろ! いま助けてやるから!」
 俺は急いで降りると、舞の木に取りついた。

 その時に見えてしまった、舞の右足の付け根に赤斑が出ているのを。

 いっしょに風呂にも入っていたし、犬ころのように転げまわっていたので、日ごろは出ないということは分かっていた。
 無事に下ろした時には、屋敷中騒ぎになって、そのままになってしまった。
 お婆ちゃんに聞いて分かった。
「あれは、舞がいっぱいいっぱいになると出てくるんだよ」
 赤ん坊のころに喉を詰まらせたときや、屋敷の中で迷ってビビりまくっていたときに(ふだん生活しているところは、屋敷のほんの一部だったので、マジで迷ってしまう)発見された時、風邪をこじらせて高熱を出したときなんかに出ていたらしい。

 だから、俺は引き受けてやった。

「おう、こっちこっち!」
 俺は校門を出て直ぐのところで待っていた。
 ちょうど下校のピークで、俺の姿はよく目立った。
 目立つはずだ、俺は隣町の有名私学の制服を着でウィッグを被り眼鏡をかけている。
 ほら、こないだモデルの面接を受けに行ったときの姿。舞が短時間で移動できるように俺がアッシーになってやっている。
 いつもは離れたところで待っているんだけど、今回は露出している。
「あ、お待たせーーーーー!」
 いそいそと、手を振りながら舞が駆けてくる。
 ラブコメとかだったら、完全にフラグが立つところだ。
 恋愛フラグで、みんなにバレバレフラグがさ。で、それを目にした友だちとかヒロインに心を寄せる男どもをヤキモキさせる虫除けフラグがさ。

 そう、俺は梶山に舞のことを諦めさせるために、一芝居を打っている最中なんだ。

 嫌々なんだけどな!
 
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 高校ライトノベル・時かける... | トップ | 高校ライトノベル・《紛らい... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。