大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・オメガとシグマ・80『そのペンネームは瑠璃美美波瑠璃』

2017-05-17 09:17:47 | 小説
高校ライトノベル・オメガとシグマ・80
菊乃のターム『そのペンネームは瑠璃美美波瑠璃』




 読んでいるとは思わなかった。

『くたばれ腐れ童貞!』は25日発売のトツゲキ6月号に載るので、関係者以外で読んでいる人はいないはずだ。


「言葉が生きているわ、ただのツンデレの裏がえし兄妹愛じゃなくて、若者のことなかれに対する憎しみが心地よかった。ほら『女のここ一番に素通りかましやがって、そこに直れ! 使う気のない道具なんかちょん切ってやる!』って、ハサミ持って家中追い掛け回すじゃない、その時の家の描写がさ、昔の置屋の雰囲気と兄貴のヘタレぶりとか、荒ぶる神みたくなった佳乃(主人公)とが重層的で、なんか、初めてVRで観たときみたいな迫力だったわ!」
「え、なんで知ってるんですか?」
「わたし、すごいと思ったら、なにがなんでも自分で確認しなきゃ気が済まないの。そんなわたしのペンネームは瑠璃美美波瑠璃(るりびびばるり)よ」
 その上から読んでも下から読んでもみたいなビビットペンネームは、突撃新人賞の最終選考に残って最優秀を競い合った女子高生!
 書類のペンネームでしか知らなかったけど、まさか同じ神楽坂高校の生徒だとは思わなかった。

「でも、なんで発表前の作品を知ってるんですか?」

「それは言えない。そういうことも含めて、わたしの力だと思って」
「そう……」
「そんな二人が一緒になれば、きっとすごい化学変化が起こると思わない?」
「えと……あたし部活とかで群れる気ないんで」
「……そう」

 瑠璃美美波瑠璃さんの瞳孔がさらに小さくなった。

 すると、瑠璃美美波瑠璃さんは両手でほっぺたをペシペシ叩いた。
 叩くと、それにつれて瞳は大きくなって、ちょうど五回叩いたところでレギュラーな大きさになり、そのせいか、ひどく柔和な顔つきになった。
 正直ホッとした。
 あのまま瞳孔が縮んでいったら蛇みたくなって、いや、ほんとに蛇とかになって、呼び出された校舎裏で呑み込まれてしまうんじゃないかとビビった。
「じゃ、またね。わたしのことは瑠璃美美波瑠璃でも和田友子でも好きな方で読んでちょうだい。ほんじゃ!」
 瑠璃美美波瑠璃さんは宇宙戦艦ヤマトのクルーみたいな敬礼をして回れ右をした。
 回れ右の勢いが強すぎて、スカートが大きく翻り、脚の付け根近くまで見えてしまった。あまりきれいな脚なんで、ドキリとしてしまう。
「そだ、明日から中間テスト、がんばってね。一年の一学期は先生たち締めるから、気を抜くと欠点だらけになっちゃうからね」

 瑠璃美美波瑠璃さんの言葉通り初めての中間テストはムズイ。

 数一の答案用紙、下1/3が空白のまま、一昨日の瑠璃美美波瑠璃さんとの出会いを思い出しているあたし。

 そだ、瑠璃美美波瑠璃じゃ舌を噛みそうなのでビバさんと呼ぼう。数一のテスト時間で考え付いた最後の答えなのだった。

 
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