大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・マリア戦記・エピソード01・09『初めて嬉しい気持ちになった』

2016-10-18 14:27:53 | 小説・2
高校ライトノベル
マリア戦記・エピソード01・09
『初めて嬉しい気持ちになった』



 病院を連れ出されるとベースでの検査が待っていた。

 安倍司令の扱いがゾンザイだったので覚悟はしていたマリアだったが、主計課の徳川曹長が根回しと準備をしていてくれたので、軍の装備品としてではなく十七歳の少女として扱ってもらえた。
「異常なし」
 担当の軍医がMRIに似た検査台から起き上がったマリアに告げた。
「「よかった」」
 マリアとみなみ大尉の声が重なった。
「異常が無いことが問題なんだよ」
「え、どういうことですか?」
 みなみ大尉の声がいささか尖がっている。
「ウズメのスタビライザーの信頼性は高いんだがね、あの状況で完璧に無事と言うのはあり得ないんだよ。仮に、ここに砲弾があったとする」
 軍医がタッチするとモニターに150ミリ砲弾が現れた。
「この砲弾の炸薬を抜いてリカちゃん人形を入れたとする」
 砲弾の中の炸薬がリカちゃん人形に置き換わった。
「で、発射された砲弾が射程距離一杯の30キロ先のコンクリートに命中したとする」
 砲弾はモニターの中を飛び回り、カウンターの数字が30キロになったところでコンクリートの塊に激突した。
「さて、砲弾の中は、こんな塩梅だ」
 砲弾が拡大されて、中が透けて見えた。
「人形はバラバラになり、着せていた服もぼろ布同然だ……これがコクピットから回収したマリアくんの服の断片。服がこういう状態なのに、マリアくんは気絶していただけだ……ま、今日の所は研究課題ということにしておこう」

 検査室を抜けると徳川曹長が待っていた。

「大尉、申し訳ありませんが、当分マリアと同居していただきます」
「それはかまわないけど……マリアもいいわね?」
「はい、てか助かります。兄が亡くなってから一人暮らしでしたけど、やっぱ一人は……」
「それはよかった。実はもう、同居に備えて大尉の家、手を加えさせてもらいましたから」
「えーーー、本人に無断で!? あたし一応未婚の女性なんだけど!」
「いや、ま、では、そういうことで」
 小さく敬礼すると曹長はそそくさと行ってしまった。

 みなみ大尉の住まいはベースの外のマンションだった。

「わあ、きれいなマンション! 今まで居たアパートの百倍すてき!」
 マリアは、車が曲がってマンションが見えてくると、ベースに来て初めて嬉しい気持ちになった。
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