大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・あたしのあした・37『ゴール!!』

2016-10-18 11:09:01 | 小説
高校ライトノベル
あたしのあした・37
『ゴール!!』
      


 タンタンタンタンタッチャラタンタンタン! タンタンタンタンタッチャラタンタンタン! タンタンタンタンタッチャラタンタンタン! タンタンタンタンタッチャラタンタンタン! タンタンタンタンタッチャラタンタンタン!

 ダンス部のタヒチアンダンスから始まった。    

 どうせ適当に編集されてしまうんだろうから、補講を一つのライブとしてとらえ楽しくやろうと考えたのだ。

 惜しくも飯館女子に破れたけれども、早乙女女学院のタヒチアンダンスはスゴイ!
 クラシックダンスで言えばプリマドンナになるんだろうか、真ん中で一人だけオレンジ色の髪飾りとパレオを付けた子が一段と映えている。初めて観た時は、ただただ圧倒されてただけだけど、今回は少し余裕を持って鑑賞ってか、あたしたちも参加することができる。

 そーーーー、参加なんだよね!

 浸かっているプールの水面がさざ波だっていると思ったら、補講女子たちが無意識に腰を振っている。
 ま、これくらいのノリがいいじゃん! と、あたしもいっしょに腰を振る。
 すると、いつの間にか智満子がセンターになってみんなをリードし始めている。
 あたしがフルボッコしてから欠席がつづき、復帰してからは、どこか遠慮がちだった智満子。
 それが、ごく自然に突き抜けてセンターに居る。
 そう言えば、このプールで初めてタヒチアンダンスに接したとき、感動のあまり爆発したみたいに大泣きしていたっけ。
 
 ステージ上のダンスがクライマックスになり、プリマドンナがジャンプして決めポーズになる。

 割れんばかりの拍手が起こって、ドボーン!!

 あたしの後ろで派手な水音がした。
 なんと、みんながシンクロよろしく智満子をリフトアップしたのはいいけど、素人の悲しさで智満子を落っことしてしまったのだ。
 ステージとプールのそれぞれのフィニッシュに盛大な拍手が再び起こった。

 それからあたしたちの補講になった。

「今日は、水泳補講の最終日だ。フォームを直した後、五十メートル競泳をやるぞ!」
 水野先生が宣言した。
 今日は、それぞれの技量に合わせて自分で泳ぐ者、ペア同士でフォームを修正する者、まだ先生に手取り足取りしてもらう者に分かれた。
「別役、蹴りがちがう蹴りが!」
 ベッキー始め三人の子がいちばん遅れていて、足を掴まれて修正されたり太ももを叩かれたりしている。最初険しい目で見ていた姫野女史も、陽気な中にも真剣な補講に目の角を柔らかくしていった。プールサイドではダンス部と入れ替わった水泳部の子たちが応援をしてくれている。

 そして、いよいよ仕上げの競泳になった。

 十三人いるので、三組に分かれて発進する。
 慣れた順にいくのかと思ったら、そのへんはバラバラだ。
 折り返したころには上りと下りで少し混乱したけど、もう途中で足を着いてしまう者はいなかった。
 最後にベッキーが残ってしまいヘロヘロになりながらゴールを目指し、やっとゴールに着くと先生から「三分二十秒!」と声がかかった。タイムを言ったということは、泳ぎ切ったことが認められたということだ。やったー!

「先生、ゴール直前で足を着いてしまいました。もう一回やらせてください」

 ベッキーは正直に言ってしまった。
 そこまでしなくても……先生もあたしたちも、そう思った。
「みんなきちんとやったんです。あたしもやっておきたいんです」
 ベッキーの目は真剣だ。
「だてにお尻や太もも叩かれたんじゃないんです。叩いたんじゃないんです。でしょ……先生?」
「よし、別役、もう一度五十メートル!」
「はい!」

 ベッキーは飛び込みこそできなかったが、合図とともに静かに泳ぎだした。なんだか津軽海峡を泳ぎ切るみたいに真剣だ。

 先生も一レーン離れ、見守るように泳ぐ。
 一分を過ぎたところでターンした。一瞬見えたベッキーの顔は、それまでのパシリのベッキーではなかった。隣りに座っている智満子が自分のことのようにくちびるを噛んでいる。あたしは、この十三人が仲間に成りつつあると感じた。
 残り十五メートルのあたりから声援があがった。
 あたしたちだけじゃなく早乙女の水泳部もテレビのクルーの人たちも、まるでオリンピックの決勝のように声援してくれている!

 ゴール!!

 いつもの倍ほどの大声で宣言した先生の声は少し震えていたように感じた。

 ベッキーやったー!

 みんなも叫んだ。

 ところが、ベッキーはゴールタッチをしたまま沈んで、浮かび上がってこなかった……。
 
 
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