大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・『はるか 真田山学院高校演劇部物語・27』

2017-06-15 06:22:54 | はるか 真田山学院高校演劇部物語

はるか 真田山学院高校演劇部物語・27


出版された『はるか ワケあり転校生の7カ月』の原話ノーカット版。いかにはるかは生まれ変化していったか!?

アハハと笑いながら読み、高校演劇の基礎とマネジメントが分かる高演ラノベ! 


『第三章 はるかは、やなやつ!5』


「こんなん、どないや」

 シャキっとしたかと思うと、先生の身長が五センチほど伸び、印象としては二十代ぐらいに見えた。
「そんで歩くとやな……」
 おお、外人さんだ!
「まっすぐ前を見て、身体は、腰から……これがコツ。腰で歩く。右、左と腰から前に出る。足は伸びたままでカカトから下ろす。手ぇはちょっと内向きに出す。これを誇張してやると……」
 おお、モデルさんウオーク……足の長さを除いて。
 よく見ると、足も着地するときには伸びきっていること。わずかだけど、後ろに残した足を上げるタイミングが遅い、つまり、歩幅が長くなっている。そして一本の線を踏むように歩いていることが分かった。
「これを逆にやると……」
 腰が落ちる。
 従って、膝と背中が曲がり、足が少し外向きになり……カカトじゃなくて、ペタンペタンという感じで、足の裏全体で下りてくる。そして腰を動かさず足だけが前後に動く。だから歩幅は狭い。顔はやや下を向いて、立派な(?)おじいちゃんのできあがり!

 先生は、調子にのって、番長になったり、兵隊さんになったり、ダースベーダーになったり。
 乙女先生はマリリンモンロー(イメージだけどね)になったりして遊び始めた。乙女先生も元は大学で演劇部だったそうだ。
「ちょっと遊びすぎたな、みんなでワカメやるぞ」
 簡単なようで難しい。その日はだれもできなかった。

 三日後には、タマちゃん先輩ができるようになった。わたしはまだダメ。
 この日は一回通し稽古(ルリちゃんが休んだんで、先生が代役)のあと、講義になった。
「筋肉には、三種類ある。随意筋と不随意筋と、それに半随意筋や」
 初めての言葉に、みんな「???」であった。
「立ち上がってみい」
 みんな、立ち上がった。
「バンザイしてみい」
 みんなでバンザイ。
「それが随意筋や、自分の意思で動く筋肉」
「筋肉て、みんな意思で動かせるんとちゃうんですか?」
 と、タロくん先輩。
「ほんなら、心臓止めてみぃ」
「!?」
 と、みんな絶句。
「な、心臓とか、内臓の筋肉は意思では動かされへん。これが不随意筋や」
「じゃ、半随意筋は?」
「耳動かしてみい」
「え、ウサギじゃないからできませんよ」
「見とけよ……」
 なんと、先生の耳が動いた!
「大昔は、誰でも動かせた。敵から身を守るためにな。進化の過程で、必要なくなったんで、訓練せんと動かせんようになった。勝新太郎が座頭市やるときに、一生懸命に練習してできるようになった。まあ、やってみい」
「ウーン……」
 だれもできない。

「ほんなら、目ぇつぶってみい」
 これは、みんなできた。当たり前。
「ほんなら、今度は、片目だけ」
 そんなもの当たり前……にはできなかった。
「アメリカ人なんかは子どもでもできる」
 あ、これってウィンクだ。
「そうウィンクや。日本人は生活習慣にないから、でけへんもんが多い」
 先生は、それから片方だけ眉をつり上げたり、しかめたり、なにげに肩を上げてみたり。簡単そうで、やってみるとできない。なんだか先生が欧米の役者さん(けしてスターではないけど)に見えてきた。

「次、みんなで笑てみぃ」
「アハハハ」
 と、思わず笑ってしまった。
「笑てくれるのは嬉しいけど、それやない。声を出せへん笑顔や、笑顔。さあ、やってみい」
 みんなその気でやってみる。
「お、はるかはできるんやなあ」
 みんながわたしの顔を見る。
「ホー……」
 と、みんな。そりゃあホンワカはわたしの生活信条だもん。
「ほかのもんは、虫歯が痛いのを辛抱してるみたいな顔や」
 思わずみんな、互いの虫歯顔を見て、吹き出してしまった。
「まあ、こんなもんは、駆けだしのアイドルでもできよる。ここの(頬を指した)笑筋を鍛えとくこっちゃなあ」
 こんなもんかよ……。

「最後に横隔膜。肺と内臓の間にある筋肉や。一応は随意筋や。試しに息止めてみい」
 みんな息を止めた。
「な、できるやろ。ほんなら、横隔膜をケイレンさせてみい」
「え……」
「アハハハ……!」
 先生が突然の大爆笑。気がふれちゃったか!?
「これが、横隔膜のケイレンや。ほかにもシャックリやら、泣きじゃくりもこの一種や。とりあえず、笑えること。楽器のトレモロといっしょ、稽古したらだれでもできるようになる。とりあえず〈ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ〉で笑えるように」

 それから、先生は部活の出席簿をチェック。持参のパソコンに、なにやら打ち込んだ。
 タロくん先輩にやらせる以外にも、自分で記録をとっているようだ。
 パソコンを閉じると、タロくんの出席簿を指さした。
「そこから、なにかを読み取って対応と、覚悟をしとけ」
「?」と、タロくん先輩。

「ありがとうございました。お疲れ様でした」

 いつもの挨拶で部活を終わる。
「これで、和顔施にも磨きがかけられるで」と耳元でつぶやいた。
「それから……」と振り返り、
「目玉オヤジは、大権現や。帰ったら、広辞苑でもひいてみい」
 と、憎ったらしくウィンク。
ジャンル:
小説
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