大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 18『虫除けなんだぜ』

2017-07-14 10:35:45 | ノベル
メガ盛りマイマイ 
 18『虫除けなんだぜ』





 当然噂になる。

 毎日放課後になると隣町の有名私学の男子高校生が、それも某人気ラノベのモテ期主人公のようなイケメンが校門の脇で待っているのだ。
 むろん、虫除けに化けたコスプレだが、ちゃんと隣町の学校からの時間を計算して調整している。

 概ね四時前後。

 下校ラッシュが過ぎたころで、程よいオーディエンスが認知してくれるのには最適だ。
 自転車の後ろには、隣町の防犯登録証とその学校の自転車登録証が貼ってある。自転車そのものも隣町で買ったもので、隣町の自転車販売組合のシールも付いている。うちの物見高い生徒が写メっても簡単にはバレない偽装はしてある。

「ね、A組の芽刈さんよ」
「ここんとこ毎日ね」
「お巡りさんも、あの二人乗りだけはお目こぼしだそーよ」
「見とれちゃう~」
「だよね」
「写真とろーか」
「あたし昨日撮った!」


 信号待ちなんかしてると、そんな声が聞こえてくる。

 単なる虫除けなんだけど、舞はまんざらでもない……てか、ちょっと得意になっている。
 なにをやっても一番でなきゃ気の済まないやつなんで、こういう褒め言葉にはゾクゾクしている。
「ちょ、揺するのやめれ」
「だって、ウキウキするじゃん」
 運転中にしがみついたままウキウキされては危なくて仕方がない。

「ちょっと出来すぎてんよな」
「ちょっとな」


 そんな話が聞こえた時は、ちょっとギクっとした。バレたかと思ったからだ。
「やっかみよ」
 舞は気楽だ、自分のやることに間違いはないと思っている。
 
「なんだか昔の韓流ドラマみたくね」
「あ、男の方な」
「今の時代に有りえねー、ありゃポプラ並木とかねーとな」
「ちょっち芽刈さんとは合わねー」


 俺は安心した。こいつらの呟きはやっかみだ、バレてはいない。
 だが、舞は違った。

「ガレージに着いたら停めて」
「なんでだよ」
「いいから」

 俺たちは、学校と家との中間にあるガレージの中で偽装を解いている。
 俺は別の自転車に乗って裏口から出る、むろん変装は解いて一人で家に帰る。
 舞は、ガレージと棟続きになっている三階建てから出て行く、それがいつもの流れだ。
 それが、今日は停めろという。

「ウィッグと眼鏡変えよう」
「なんでだよ」
「有りえねーとかは有りえないのよ」
「あれはやっかみだろが、テスト前の部活禁止期間のサッカー部かなんかだぞ」
「野球部と軽音もいた」
「っても、同じだろが。バレてなきゃ、そいでいいじゃねーか」
「よくないわよ、フェイクでもわたしの彼なのよ。釣り合うものでなきゃなんないでしょーが」
「こんなとこで見え張ってもよ」
「見栄じゃない、プライドよ」
「いいか、これは単なる虫除けなんだから」
「そんないい加減だから、過年度生なんかになんじゃないのよ」
「ん、んだとー!」
「図星突かれて切れるなんてサイテーの屑よ」
「このアマーー!」

 手を上げた瞬間天地がひっくり返った。

「遅くなりました、ま、仲良く兄妹ゲンカですか」
 恵美さんが車のキーを回しながら入って来た。
「恵美さん、いまから原宿……渋谷お願いね」
「はい、承知しました」
「ほら、さっさと来る」
 痛む腰を摩りながらセダンに乗り込む。

 半日かけてウィッグと眼鏡を新調。
 あくる日からはイメチェンの二人乗りで、やっかみ的な呟きをするモブも居なくなり、三日目には俺たちの写真をマチウケにする女子まで現れた。

 大満足の舞だったが、本当の目的である虫除けからほころびが出てきた……。
 
ジャンル:
小説
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