大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・あたしのあした・36『まあ、ご謙遜を!』

2016-10-17 10:45:55 | 小説
高校ライトノベル
あたしのあした・36
『まあ、ご謙遜を!』
      

 床の間を背に座って収まりのいい女子高生なんてめったには居ない。

 でも、目の前の早乙女女学院の制服は、もともと座敷の一部であるかのように馴染んでいる。
「早乙女女学院水泳部部長の白浜洋子と申します、本日はご都合をつけていただきありがとうございました」
 着物を着ていたら、そのまま時代劇のお姫様が務まりそうな慇懃さで頭を下げた。三つ指を突くっていうんだろうか、こんなきちんとした挨拶は将棋の有段者でしかお目にかかれない……って、なんで、あたしが将棋の有段者を知っているんだ?
「お約束通り田中さんをお連れしました、それでは……」
「「あ」」
 あたしは白浜さんといっしょに声を上げた。察しは付くが、のっけから二人にされてはかなわない。
「関根さんもいらしてください、ほんとうならみなさんにお詫びしなければならないことなのですから」
「あ、そうなんだ……じゃ」
 ネッチは上げかけたお尻をふたたび落ち着けた。
 ネッチも制服姿なんだけど、さすがは安政六年創業のお茶屋の娘。あたふたしながらも様になっている。

 白浜さんが切り出した話はこんな具合だ。

 あたしたちの水泳補講がとても和気あいあいとしていていたので、とても微笑ましく、部員の一人がスマホで撮影してSNSで流してしまい、その動画は本人の思いに反してセクハラととられて炎上してしまった。撮った本人もパニックになり、動画は直ぐに削除したのだけど、すでにコピーされてしまって流されてしまった。撮影した本人に謝らせたいが、テレビ局が取り上げたりして騒ぎが大きくなってしまい、非常に落ち込んでいる。
「……そういうことですので、取り急ぎわたしがお詫びにまいった次第です」
 白浜さんは何度目かの三つ指を突いた。
「あの……」
「つきましては、わたしどもの方から放送局に連絡を取り、補講のほんとうの様子を伝えたいと思います」
「白浜さん、あたしに考えがあります」

 あたしは毎朝テレビの姫野さんに提案したことを話した。

「それ、いいと思います!」
 白浜さんは、初めて高校生らしい笑顔になって賛同してくれた。早乙女とうちの両方が言いだせば上手くいくにちがいない。
「そうだ、あたしたちが、こんなに和気あいあいになったのはタヒチアンダンス部のお蔭でもあるんです!」
 あたしはネッチといっしょになって、タヒチアンダンス部との出会いや滋賀県でのコンクールの話をした。
「それ、タヒチアンダンス部も加えることはできないかしら?」
 白浜さんが膝を突きだした。
「……え……そうなんですか!?」
 意外なことを聞いた。そして、あたしのアイデアは、グッと現実味を帯びて成功の確信へと変わっていった。

「あの、ネッチと白浜さんの繋がりって、どういうところからなんですか?」

 話がまとまると、穏やかに微笑みあっている二人が気になって訊ねた。
「関根さんは、わたしのお茶の師匠なんですが……」
 あたりまえのことを、今さら、なんだというような顔で言う白浜さん。
「え、ほんとう、ネッチ!?」
「教えてんのはお母さんよ、あたしは介添えってか助手やってるだけだから!」
「まあ、ご謙遜を!」

 アハハ、ウフフと笑う二人であった。
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