大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・オメガとシグマ・68『御籠りの五日間・2』

2017-05-05 11:19:00 | 小説

高校ライトノベル・オメガとシグマ・68
オメガのターム『御籠りの五日間・2』




 崩落殿という字を思い浮かべてしまった。

 巫女さんに案内されて「ほうらくでんをお使いください」と言われた。
 ついさっき吊り橋が落ちたので『崩落』という字がとっさに出てくるのだ。
 実際には『豊楽殿』という札が掛かっていて、風信子んとこの豊楽殿と同じような三十畳余りの部屋だ。
 本殿は式年造替(しきねんぞうたい)したばかりの新品だけど、豊楽殿は百年はたっているんじゃないかと思うくらいに古さびている。
 LEDと思われる照明器具がなければ、そのまま時代劇の撮影に使えそうだ。
「造りは、風信子とこのに似てるな」
「逆よ、うちがここの造りに習ってるの」
 そう言えば、神楽坂神社の本家みたいなもんだと言っていたな。

 物珍しさに、最初はキョロキョロしていたメンバーたちだが、五分もすると座敷の片隅に腰を下ろした。
 三十畳の広い座敷なんだけど、部屋の真ん中では落ち着かない。
 気づくと風信子の姿が無い。
「お茶とお召し替えをお持ちしました」
 声が掛かって巫女さんが二人入って来た。よく見ると一人は風信子だ。
「ここでは、わたしも巫女だからね」
「作務衣ですが、着方は分かりますか?」
 出されたのは職人さんたちが着ているようなので、男が藍色、女が茜色だ。
 男女一緒に着替えちゃまずいだろうと思ったら、時代劇に出てきそうなT字型の支木に四枚の布を垂らしたパーテーションみたいなのが出てきた。
「これって几帳(きちょう)ですよね!」
 シグマが感動した。やりこんだ時代劇ゲームの中にでも出ていたんだろう。
「紐の結び方がわかりませーん」
 増田さんが巫女さんの助けを借りている、几帳一枚だけなので衣擦れの音などが聞こえる。
「なんだか新鮮ですね!」
 シグマは無邪気に喜んでいる。

「で、ここで何をすればいいんだ?」

 お茶を飲んで落ち着くと、ノリスケが素朴な質問をする。
 もっともな話で、俺たちは「アゴアシ付きだから、連休の後半は付いて来て!」と風信子のお願いで、ここに来ている。
 感じは林間学校みたいだけど、スケジュールが示されていないので、落ち着いてしまうと、そもそもの疑問にぶち当たる。

「まず、ゲームをやってもらいます」

 そう言われて、俺の頭には飯盒炊爨とかやって、そのあとオリエンテーリングとかのイメージにになる。
「「「え、えーーーーー!?」」」
 襖が開いて、増田さんを除く三人が声を上げた。
 襖の向こうには座卓が並んでいて、座卓の上にはパソコンとエロゲのパッケージが人数分載っていたのだ。

 増田さん一人、意味が分かっていなかった。
 
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