大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・ポナの新子・89『ワッチが終わって』

2017-03-30 06:19:08 | 小説7
ポナの新子・89
『ワッチが終わって』
        

「砲雷長、艦長がお呼びだよ」
 
 ワッチ(当直)が終わって自室に戻ろうとしたら船務長に声を掛けられた。

「艦長、お呼びでしょうか」
 艦長は、士官室奥の談話スペースに居た。
「すまんな、ワッチ明けに」
「いえ、三時間もすれば上陸ですから」
「そのまま家かい?」
「ええ、両親の誕生日以来ですから」
「ちょうどいい、妹さんに頼んでもらえないかな」
 そう言われてポナの顔が浮かんだのは、二月前の『中国ドローン事件』で艦長も達幸もポナに世話になったからだろう。
「ドローン事件がらみですか?」
「あの件では世話になったな……」
 艦長はきまり悪そうに頭を掻いた。あの件でポナが関わってくれなかったら、達幸も艦長もひとなみには乗っていられなかっただろう。
「別件ですか?」
「実は……」
 艦長が切り出そうとすると、隣の士官室から聞きなれた歌が聞こえてきた。
「あ、妹のユニットですね」
「艦内じゃ、ちょっとしたブームだよ」
「いや、知りませんでしたね……」
「航海中はきみに遠慮してチマチマ聞いてたようだけどね、今朝入港してからは科員食堂や士官室でも大っぴらだ」
「ワッチに立っているうちに浦島太郎だ……」
「そこで、どうだろ、来月の一般公開の日にSEN48に来てもらえないだろか?」
「え、妹たちをですか?」
「うん、参観者のみなさんに喜んでもらえるだろうし、乗組員の士気も上がると思うんだ」
「……しかし、なりゆきの甲板じゃ狭すぎますね。ライブじゃ千や二千はいつも集めてますからね」
「やってもらえるんなら、かがの甲板だよ。あそこならラグビーコート二面分はゆうにあるからね」
「かがですか!?」
 達幸はワッチしながら視界に入っていた新鋭空母型護衛艦の雄姿を思い浮かべた。あそこなら二回公演でなんとかいけるだろう。
「これはわたしの発案だが、企画は地方隊広報部がやることになる。君に異存がなければ正式に隊の広報から申し入れる」
「じゃ、家に着いたら下話しておきます」
「よろしく頼むよ、念のため艦を下りたら基地の広報によってくれ、わたしの説明に漏れがあっちゃいけないからな」
「承知しました」

 士官室を出るとすれ違う乗組員から「頼みますよ砲雷長!」「寺沢、ぜひSEN48をな!」などと声をかけられる。

――どうも艦長も乗組員もグルだな……――
 広報に寄ってみると乗組員どころではなかった、基地司令の署名入りの出演依頼書までもらってしまった。

 この海自の熱意と几帳面さが、こののち波紋を呼ぶことになるとは、達幸は夢にも思わなかった……。


父      寺沢達孝(60歳)   定年間近の高校教師
母      寺沢豊子(50歳)   父の元教え子。五人の子どもを育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員、その後乃木坂の講師、現在行方不明
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子
橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長
浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊
吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。
佐伯美智  父の演劇部の部長
蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒
谷口真奈美 ポナの実の母
平沢夏   未知数の中学二年生
ジャンル:
小説
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