大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・オメガとシグマ・55『リバース』

2017-04-20 12:13:42 | 小説
高校ライトノベル・オメガとシグマ・55
菊乃のターム『リバース』



 ピンポンパーン

 一年三組の増田汐さん、一年三組の増田汐さん、伝えたいことがありますので図書館司書室まで来てください。


 学食を出たところで校内放送がかかった。
 増田さんは、食べたばかりのランチをリバースしそうな顔をあたしに向けた。
「だいじょうぶ、あたしが付いて行ってあげるから」
 増田さんはゴックンしながら頷いた。ほんとにランチが喉元までリバースしていたのかもしれない。

 昨日は、あれから学校中を探し回った。
 そんなに広い学校じゃないけど、落とし物の本を探すのには十分すぎるほど広い。
 探し回ったお蔭で、オリエンテーションでは覚えきれなかったゴミ捨て場や、いろんな準備室や倉庫の位置を覚えてしまった。
 でも、増田さんが失くした図書室の本は見つからなかったんだ。
 それが、あくる日の今日、図書室から指名の呼び出し。
「探し回ってるのは、みんなに見られてるから、きっと叱られるんだ……」
 あたしは別の可能性を思ったけど言わなかった。増田さんは、ちょっと鍛えられた方がいい。
 あたしが付いて行ってあげなかったら、彼女は、そのまま校門から飛び出して二度と学校に来ることはなかっただろう。

 スーパーで買ってきた玉子からヒヨコが孵ったらビックリするよね。
 そのヒヨコが、早手回しにフライドチキンとかになたら、もうビックリのしようもないよね。
 そんな展開になって来た。

「拾ってくれた人が居たの!」

 あたしの予想が当たった。けど、友だちの礼儀として「ほんと!?」と驚いてあげることは忘れなかったよ。
「「よかったよかった! よかったよ!」」
 図書室前の廊下で、二人ハグしながらピョンピョンした。

「でね、今から拾ってくれた人にお礼を言いに行くの!」

 学食前のリバース顔から完全にリバースした笑顔で目をキラキラさせながら増田さんは宣言した。
「三年生の鈴木さんて男子生徒なの♡」

 初対面の人間に一人で会いに行けるような子じゃないんだけど、『耳をすませば』妄想に陥っている。
「付いて来て」とは言わずに、いそいそと階段を上って行った。

 喜んであげるべきなんだろうけど、なんだかムカついてきた。

 渡り廊下渡って本館へ、そして階段を下りる。本館の二階は三年生のフロアーだ。

 こういう時に気取られる妻鹿菊乃じゃない。
 あたしは、階段上がったところの壁に背中を預けた。
 反対側の壁には身の丈の姿見があって、そこに写ってる増田さんと三年の男子を偵察。

――ウ……なんだかいい雰囲気じゃん――

 そろって左と右の横顔を向けている二人はドラマのカップルみたくよさげだ。
――鈴木だっけ、ちょっといい感じじゃんよ……――
 しばらくして、こちらを向いた鈴木の正面の顔を見てブッタマゲタ!

 それは、腐れ童貞の悪友のノリスケではないか!

 そうだ、ノリスケの苗字は鈴木だった。

 なんちゅうリバースなのよ!
 
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