大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・34「部室棟が見える窓」

2017-06-15 13:28:30 | 小説・2
オフステージ(こちら空堀高校演劇部)34
「部室棟が見える窓」
                   




 へーーここがタコ部屋やねんなーー!

「よかったら入りませんか」
 千歳が勧めると「うん、ありがとう! よっこらせ!」と、ミリーは窓から入って来た。
「あ、ごめん!」
「わ! あわわわ……」
 自分の間近に着地したミリーは、狭い床にタタラを踏んで、延ばした両手で千歳の胸を掴んでしまった。
「いや、ほんまにごめん!」
「あ、あ、ごめんはいいですから、手をど、ど、どけてください」
「ごめんごめん!」
 慌ててどけた手を、握ったり開いたりするミリー。
「自分以外の女の子のオッパイ初めて触った……アハハ、なんやったら、うちのオッパイ触ってみる?」
 胸を突きだしたミリーに、両手をブンブン振ってイラナイイラナイをする千歳。
「今からお茶にするから、空いてるとこ座れや」
「うん、おおきに!」
「えと、紅茶とコーヒーどちらにします?」
「うちはコーヒー、あったらミルクも砂糖も」
「おれもコーヒー」
「あたしは紅茶」
「はい、じゃ、これお茶うけです」
 
 千歳は器用に身体を捻って、背もたれの後ろからお菓子の袋を三つばかり取り出した。

「千歳の車いすって、いろんなものが付いてるのねえ」
「電動アシストにしたんで、ちょっと余裕なんです」
「えー、そうやったんか、気いつけへんかった」
「へー、どれどれ」
「あ、やだ、じろじろ見ないでくださいよー」
「そだね、ここ狭いから、また、広いところで見せてよね!」
「え、あ、えと……」
「千歳、お湯が噴いてる!」
「わ、あわわわ」

 いつのまにか、狭さが距離の近さになり嬉しくなってきた。

「ここから、部室棟がよう見えるんやねえ……」
 コーヒーカップを両手で包むようにして、ミリーが呟いた。
「部室棟たすかってよかったねえ」
「ほんまや、こんどばっかりはアカンかと思たもんな」
「小汚い建物としか思ってなかったけど、すごいものだったのね」
「わたしもビックリですぅ、なんかの縁でしょうねえ、ひいお祖父ちゃんの設計やなんてね……」
「補強すんねんやろか、解体修理するんやろか」
「ここから、ゆっくりと見届けですねー」

「ね、うち、演劇部に入れてくれへんやろか?」

「「「え!?」」」

「部室棟が、どないなっていくか、ここから見てみとなってきたよって」

「お、おう!」
「いいじゃん!」
「ぜひとも!」

 演劇部が四人になった……。
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