大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・トモコパラドクス・30『青春ルージュ・48』

2017-03-13 06:40:01 | トモコパラドクス
トモコパラドクス・30 
『青春ルージュ・48』 
      

 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!


 珍しいことに、お父さん(実は弟の一郎)とお母さんがいっしょに帰ってきた。

 一昨日の夜のことである。
 お父さんも、お母さんも同じ化粧品会社に勤めているが、部署がまるで違うので帰宅時間がまちまち。
 それが、おとついに限って、いっしょだった。

「二人とも同じ部署になっちゃった!」

 お母さんはそういうと、なんやら企画書やらコンテを出しながら「晩ご飯お願い」と友子にたたみかけた。
 で、この状態が昨日(土)も続き、友子は合計五食の食事、二回の洗濯、お掃除、風呂掃除、生協のあれこれの仕分け、つまり家事一切をやることになった。

 新発売のルージュの発売コンセプトが、変更になったのだ。モニターを使った調査で、ターゲットにしていた二十代の他にも十代、アラフォーの女性にも人気があることが分かった。
 で、研究熱心なお父さんと部下の太田は連日の徹夜で、商品を六種類作った。
 六種類のルージュは重ね塗りすると、また、独特の感じになる。微妙に色はかえてあるが、メインは、ベータエンドルフィン、ドーパミン、セレトニンという、女性が楽しいと感じたときの成分の比率を変えてある。
 一つに付き八通りの塗り方をユーザーに提案。ユーザーは自分好みで、さらに選択肢が増える仕組みになっている。基本は八通りなので、6×8=48ということになる。

『青春ルージュ・48』

 これが、キャッチコピーになった。
 そのキャンペーンチームに、一郎も春奈も加えられたのである。なんでも、社長直々のご指名のようだ。

「なんで、おれたちが!?」ではなく「オレ達がやれるのか!」の気持ちが強い。

 で、今日の日曜は、キャンペーンのCM一号の撮影で、友子も、スタジオにいっしょに付いていってる。それも制服のままで!?

 キャンペーンキャラの十代の代表に、乃木坂学院の先輩である仲まどかが起用されたからである。
 まどかは、先月先輩の女優坂東はるかといっしょに、母校訪問にきてた。友子の教室にきてくれ、二言三言言葉を交わしてファンになってしまった。
 友子は、五十年未来の技術で作られた義体ではある、あるが、感受性は十六歳の女子高生のままである。学校の帰りなんかに、同じ義体で演劇部の先輩ということになっている紀香といっしょに、はるかとまどかに擬態したりして遊んでいる。

「わー、まどかさんだ! 覚えてらっしゃいます、わたしのこと?」
「あー、学校行ったとき、スケール貸してくれた……ええと……」
「鈴木友子です!」
「ああ、トモちゃん!」
 うわー、売れっ子タレントの仲まどかが「トモちゃん!」なんて呼んでくれた~♪
「まどかさん、仕込みでちょっと伸びてますんで、待機願います」
 スタッフが告げに来た。
「へへ、もうちょっと、お喋りできそうね。トモちゃん、ひょっとして、スポンサーのチーフの鈴木さんの?」
「はい、あ 娘です(思わず姉です。と言いかけた)」
「そうなんだ、お父さん似なんだ」
「アハハ、良く言われます(姉弟だもん) でも、わたし、あんなヘンクツじゃありませんから」
「プ、娘からもそう思われてんだ。鈴木さん、初めて会ったとき寝癖がすごくって。でも御本人は全然気にしてないのね」
「ああいうやつなんです、昔から……」
「アハ、なんだかお姉さんみたい」
 そう言って、まどかはチョンガリコーンを口に放り込んだ。そういえば、控え室にはチョンガリコーンがいっぱいだった。
「チョンガリコーン、好きなんですか?」
「うん。でも、こんどのキャンペーンの共同スポンサーなんだよ。知らなかった?」
「はい」
「青春ルージュ48には、チョンガリコーンがよく似合う。チョンガリコーンは青春ルージュ48が大好きだ。今度のキャッチコピー。あ、コピーってば、最近、わたしとはるかさんのソックリさんが出没するって。ほら、このシャメ……」
 それは、渋谷で、紀香と擬態して遊んでいたときので、友子はアセアセだった。
「ソックリさんが出るなんて、嬉しいけどね!」
 胸を撫で下ろした友子にまどかは、いろんな話をしてくれた。思えば、同じ学校の同じクラブの入れ違い同士、歳も三つしか離れていない(一郎以外の人間には16歳の女子高生である)ので、話に花が咲いた」

 そのとき、まどかのスマホの着メロが鳴った。どうやら緊急の用件らしく、まどかの顔に緊張が走った。

「……え、お母さんが救急車で緊急入院……脳梗塞!?」
 まどかは、途方にくれた。アイドルと言っても人間である。まして、まどかは十八歳。母の危機を前に、平然とはしていられない。

「わたしに良い考えがあります……」
 友子は、まどかに耳打ちした。
「え、そっくりさんが!?」
「わたしの知り合いなんです。幸い、この近所だし、十分もかかりません。今日はスチールだけだから、なんとか」
「でも、そっくりさんでも、マネージャーさんとか、他のことは知らないでしょ?」
「大丈夫、かなりのオタクだから、短時間なら……」
「とにかく呼んでみて、わたしが、自分で判断するわ」

 そうやって、十分後、友子と影武者まどかが、まどかの前に現れた。そして、友子は、新しい自分の能力を発見していた……。
ジャンル:
小説
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