大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・時かける少女・50『女子高生怪盗ミナコ・16』

2017-05-11 06:44:33 | 時かける少女
時かける少女・50 
『女子高生怪盗ミナコ・16』 
         

 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子(みなこ)は、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になってしまった……今度は平成13年のA刑務所から始まり、半年余の時間が流れ、ミナコは、宇宙戦艦大和で宇宙に飛び出すことになった……。


 モニターに現れたのは、ブロンドの長い髪の美しい女性だった……。

「わたしはミスカンダルのアイドルーシャ……蟹江艦長、大和のみなさん。歓迎……したいところですが、どうぞこのまま、お引き取りください」
「アイドルーシャ、そうもいかん。これ以上地球の周辺をゴミラスの自由にさせておくことは、地球のドロボーのハシクレとして、見過ごしておくことはできんのだよ。とりあえず月は取り返す」

「月が……」
「取られてんの?」
 ミナミとミナコが呟いた。

「月が、地球のものだというのは、地球人の思いこみです。古くから、ゴミラスやミスカンダルは、月を、宇宙旅行の中継基地として使ってきました。つまり、流行りの言葉で、実行支配をしているのです。今、にわかに地球が領有権を主張なさっても困惑するばかりです」
「われわれ地球人は、その想いで月を支配してきた。ウサギを住まわせたり、蟹をすまわせたり。ロマンの中では、数万年前、いや、まだ言葉すら定かに持たないネアンデルタール人の昔から、人類は月を認識し、地球の存在に欠くべからざるものだったった。返していただこう」
「わたしたちは、月の裏側にささやかな中継基地を持っているだけなのです。なにも月そのものを持ち去ろうというのではないのです。地球人が、月をロマンや尊崇の対象としてあがめ、憧れることを妨げるものではありません。地球人の領有を認めれば、月は百年も待たずに乱開発され、宇宙の秩序破壊の元になります」
「ミナミ、ミナコ、両舷の対空監視を厳となせ。今が危ない……」
「艦長、地球の裏側、右舷165度にゴミラス艦隊!」
「シールドを、右舷後方に張れ! 面舵いぱーい!」
 
 大和の巨体が、意外な早さで旋回。同時に大きな衝撃が来た。

「シールド損傷、第三主砲被弾。損傷なし!」
 副長の被害報告に、蟹江艦長は冷静に答えた。
「両舷後進、シールド復旧急げ。主砲、対空砲応射急げ。砲雷長、マトホーク即時サルボー」
 ガクンと体が前のめりになった。急速な両舷後進にショック……と思う間もなく、艦首前方を、ショックカノンやパルスレーザーが数十本の光の束になってかすめていった。

「危のうございましたね」
 左舷のミナミはノドカにため息。ミナミは右舷の高角砲に見せかけたパルスレーザー砲や、パルス機関砲で、敵の弾を相殺射撃。ミナコそっくりの砲雷長は、マトホークの初弾十二発を発射。次弾をリリースした。
「進路そのまま、最大戦速。射撃続け!」
 大和は、敵艦隊を右に見ながら、応射を続けていく。

 ミナコは、いつのまにか射撃管制機をマニュアルにして、必死の形相で、ロックオンと射撃をくり返していった。頭の中を、ある若い男性の姿がかすめていく。
――だれ、だれなの、あんたは!?――
 そう想いが噴き出してくると、一瞬で山野中尉の名前と姿に結晶した。

――わたしは、時任湊子……――

 そこに思い至ると、ミナコの視界は真っ白になっていった……。

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