大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・トモコパラドクス・96『友子の修学旅行・2』

2017-05-17 06:13:03 | トモコパラドクス
トモコパラドクス・96 
『友子の修学旅行・2』
       

 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかし反対勢力により義体として一命を取り留めた。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された! 久々に女子高生として、マッタリ過ごすはず……今度は、忘れかけていた修学旅行!

#……渋谷の奇跡

==赤ん坊の命が惜しければ、修学旅行に行くな!==


 強烈な思念が、二人の義体のCPUにこだました……!

 久々に現れた、未来からのスナイパーだ。それもかなりの手練れであることは、思念の強さに表れていた。武器も目に見えるものはナイフしか持っていない。おそらく、こちらが攻撃の思念を持っただけで人間の百倍……それ以上の反射神経で赤ん坊のすみれの命を奪ってしまうだろう。
 うかつに義体としてのセンサーを切ってしまったことを後悔する友子だった。義体としては大先輩の滝川は、怯えて、ヘタレ顔になって……本当に怯えている!

――どうすりゃいいんだろう!?――

 そう思った瞬間、女は赤ん坊ごと消えてしまった。
「え……」
「どうしたの、友子?」
 妙子が、声を掛けてきた。
――今のは、ボクが片づけておいた――
 滝川の思念が伝わってきた。

「さっきの、どうやって始末したの。なんなの、さっきのヘタレ顔は?」
「攻撃の思念には素早く反応するけれど、それ以外は並の義体よ。だから普通に……」
 滝川は、擬態している女子高生、滝川コウの声で答えた。
「普通に?」
「怖いと思うの」
「そんなの思ったら負けじゃん」
「怖いと思ったら、どうなる?」
「逃げたくなる……かな」
「ピンポ~ン。逃げるの、あいつが現れる一秒前に……で、現れたところで分子分解」
「そんな手があったんだ……」
「トモちゃんには、まだ無理よ。攻撃の思念が先に出てしまうから。あたしたちみたいな海千山千にならなきゃ、この手は使えない」
「なるほど……でも、すみれちゃんは?」
「あれはダミーよ。峰子ちゃんから預かったときに、あたししか分からない識別コードを埋め込んでおいたから」

 友子は面白くなくなってきた。自分が、まるで駆けだしのペーペーのように思えてくる。

「ハハ、むくれないの。キャリアが違うもの。化けるほど義体をやって身に付いたテクニック。あ、あのお店可愛いのが揃ってる!」
 ミーハーのように、滝川は小ぶりな洋品店に入っていった。

 いきなりバイト店員の女の子の思念を感じた……と思ったら、思念の世界で、その子と二人きりになってしまった。

「初めまして、あたし高科美花っていいます。大橋作品の『秋物語り』に出てきます。よろしく」
「あ、鈴木友子です。あのシリーズは終わったのよね」
「でも、あたしたちは、作者が書いていないところで生きてるんです。シリーズの中じゃ、渋谷のガールズバーでバイトしてたけど、今は週二で、このお店でも働いてんの」
「学校は?」
「週に三日だけ行ってる。乃木坂学院みたいないいとこじゃなくって、都立のテキトーなとこだから、出席日数だけ足りてりゃいいの」
「いま検索したんだけど、あなたって、韓国に戻って、いろいろ考えたのよね」
「さすが義体のトモちゃん。なんでも検索しちゃうんだ」
「本名は、呉美花(オミファ)さん。帰化するかどうかで悩んだんだよね、で、考えた末に……」
「ハハ、あたし考えんの苦手。思った通りに行動して感じたまま生きてるの。むつかしく分析とかすると、あたしのことは分からないわよ。だって、自分自身よく分かんないだもん。秋物語り・28『それぞれの秋・4』読んでもらったら、すこしは分かる……かな?」

 友子は、すぐに検索した。美花って子は、けっきょく結論を出していない。でも、マッタリした清々しさがある……不思議としか言えなかった。

「どうもありがとうございました」
 美花ちゃんが、商品の入った袋と、レシートを渡してくれた。
 どうやら思念の世界にいる間に買い物をしてしまったようだ。
「賢いチョイスでしたよ。これなら制服のローファーでもいけるから。修学旅行に靴二足はお荷物でしょ」
「そうね、あなたのアドバイス参考になったわ。ありがとう」

 友子は、襟付きロンT、バルーンスリーブのザックリブラウス、サス付きスカートというやんちゃカジュアルとトラディッシュ風の中間の物を買った。

「どう、ちょっとした予行演習だったでしょ」
「今の、滝川さんが?」
「ハハ、渋谷の奇跡よ」
 滝川は、お気楽に先に行った。

「下見だけって言ったのは、誰だっけ?」

 そうイジラレたけど、みんな何かしら手に入れた渋谷ではあった……。   

ジャンル:
小説
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