大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・時かける少女・84・スタートラック『ベータ星滞在記・2』

2017-06-14 06:14:14 | 時かける少女
時かける少女・84
スタートラック『ベータ星滞在記・2』
      

 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子(みなこ)は、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になってしまった……目覚めると、今度は西暦2369年であった。ファルコン・Zでの旅……銀河連邦大使に出会った。ベータ星に滞在することになった。

 
 監視されている様子はなかった。

 幽閉という言葉が、一番似つかわしいが、ミナコたちも、あまり外へ出てみようとも思わなかったので、ファルコン・Zのクルーは、とても中途半端だった。
 外へ出てはいけないと言われているが、建物ではない。首都ベータポリスから出てはいけないということだけだったので、ほとんど自由と言ってもよかった。

「今朝は、納豆定食にしてみました」
 まかないのメグさんが、ワゴンで朝ご飯を運んできた。
「うわー、なつかしの水戸の納豆だ!」
 ミナコが一番喜んだ。あとのみんなもそこそこメグさんの料理は気に入っていた。
「ゲ、納豆!?」
「嬉しい、メグさんのアイデア?」
「いいえ、ファルコン・Zに相談して、料理は作っています。今朝の納豆は難しいんで、ファルコン・Zが合成してくれたものですけど、明日からお出しするお味噌やお醤油はレシピを教えてもらって、あたしが作ったものが使えそうです」
「船の中じゃ、こんなの食べたことないわ!」
「ファルコン・Zも、ここに来てから余裕みたいですね」
 ミナホが、楽しそうに納豆をかき混ぜている。
「船のCPUは航行中は、運行と警戒で手一杯ですからね。遊び心が出てきたんでしょうね」
「で、オレの嫌いな納豆か?」
 船長がボヤク。
「マーク船長にファルコン・Zから、メッセージです」
「なになに……この際、嫌いなネバネバ系を克服しましょう。おせっかいなやっちゃ」

「ねえ、AKBのフリ覚えたの。見て!」
 メグさんの娘メルとパルがやってきて、上手に歌って踊って見せた。
「あ、『恋するフォーチュンクッキー』じゃん!」
「うん、街で流行りかけてるの!」
「なんで、そんなん知ってんねん?」
「ファルコン・Zがネットで流してるわよ。他にもいろんなこと教えてくれる」
「あたし、今度は『大声ダイアモンド』マスターしたいな」
「『フライングゲット』が、いいな」
「ね、キンタローバージョンてのあったけど、なあに?」
「あ、あれAKBの準構成員。あんまり真似すると首とか腰いわすわよ」
「うん、じゃあ、オリジナルをマスターしてくるね!」

 フォーチュンクッキーを口ずさみながら行ってしまった。

「可愛いお子さんですね」
「ほんとは、片方男の子だったらよかったんですけどね」
「メグさん、お若いから、まだまだでしょう」
 早くも食べ終わったコスモスが親しげに言った。
「三人目は……とても難しいんです。この星じゃね」
 メグさんは、軽くため息ついてお茶を注いでいった。
「どうしてなんですか?」
 ミナコは、大昔の中国の一人っ子政策を思い出した。
「水銀のせいなんです……」
「水銀……?」

 そこに、メイドのメナが急ぎ足でやってきた。

「みなさま、王女殿下のお越しです!」

 そして、ラフなチノパンにシャツジャケットの姿で王女が現れた……。

ジャンル:
小説
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