大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・61『風立ちぬ/SHORT PEACE』

2016-10-13 05:47:25 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・61
『風立ちぬ/SHORT PEACE』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


風立ちぬ

 いざ生きめやも……堀辰雄のポール・ウ゛ァレリーの詩の訳と 同名の小説タイトルから邦題とした。

 本作は帝国海軍/九六式艦戦(単座戦闘爆撃機…後のゼロ戦の原型)の開発者・堀口二郎の物語であるが、堀辰雄が合わさっており、さらに堀の「菜穂子」の世界も重なっている。
 本作について、解説などと 無粋は必要ない。見て感じていただければ、後 パンフレット収録の駿さんの企画書を読めば良い。
 
 続いて、立花隆が補足している……ええんですが、立花ってのはジャーナリストっつう前に、どうしようもなく左翼です。立花は この作品世界を「富国強兵国家日本が、富国にも強兵にも失敗し、大破綻をきたした物語」だと……何を言うやら左翼の馬鹿は、戦争に負けたのだから大破綻は当たり前。なら、この時代に「富国強兵」以外に選択肢が有ったのか? 無理にも欧米に追いつかなければ理想郷ができたとでも言いたいのか? 現在の価値観で過去を裁くのは間違っている事に、いつになったら気付くんでしょうねぇ。

 まぁ、こんな奴は放っておいて…本作の中には観客の気持ちを鷲掴みにするセリフが散らばっています。多くは堀口の評伝にある言葉であったり、堀の作品にある言葉だと思う これがなかなかに響く。
 響くと言えばエンディングがユーミンの「飛行機雲」なのだが、この歌 ユーミンの若くして逝った友に捧げられた物、偶然だが それがヒロイン菜穂子の物語に重なる。また、西条八十の「風」も物語世界にとけこんでいる。
 二郎はよく夢を見る。この夢の中に出てくるイタリア人カブローニは飛行機発明の先駆者で、駿さんは二郎にとっての“メフィストテレス”と捉えている。善悪の彼岸を超えた絶妙の存在です。
 本作の効果音は 大部分“口三味線”だそうで、当然加工されているが、よおく耳をすますと そうだと知れる。これが作品に面白い色付けをしている。 音と言えば 二郎の声を“エウ゛ァ”の庵野秀明が勤めている。初め少々引っかかるが 慣れてくるとこれがなかなか良い。「トトロ」の糸井重里以来のヒットだと思う。瀧本美織の菜穂子はドンピシャの起用です。今作の「生きねば」、以前に「生きろ!」ってのも有った。このように見える“キャッチコピー”が無くとも、宮崎駿は一貫して“生きる”事を表現してきた。そこには狭小なイデオロギーなど入り込む余地はない。宮崎はいつも もっと巨大な物語を見つめている。高齢でもあるので後 何本見せてもらえるのか判らないが、このまま永遠に作り続けていただきたいですねぇ。
 最後に、本作は子供向けアニメではありません。あんまり幼い子供には理解不能でしょう。その点、勘違いされたのでしょうか、小さな子供を連れた方が結構おられたのですが、むずがる声も退屈してガサツク雰囲気もありませんでした。ちびチャン達には どのように見えたのでしょうか。


SHORT PEACE

 これも コメントする事が無いんだよなぁ。とにかく見て感じて下さい と言うのみです。5本のショートアニメのオムニバスで、内2本が大友作品。70分弱の作品で、オープニングに現れた少女が白兎に誘われて鳥居をくぐり抜け4つの異世界を巡る。以降 少女は画面に現れず、少女の視線は観客の視線となる。一本一本は独特の世界観であり、どれをとっても見事な仕上がりです。 ただ、「攻殻~」の時も思ったのですが、歩く姿がフワついて見えます。
 ジブリ作品だと絶対そんな事は無いのですが、その他のアニメだと時々引っかかる、セル画枚数の関係なのか CGの隆盛が影響しているのか…ご存知の方がおられるならご教示願いたいのですが……。
 大好きな大友ワールド、作品の原点やこだわり、意味するもの……語りだすとキリがない。だからやめときますが、本作には新旧二つの大友克洋の顔が出てきます。漫画家大友の懐かしい物語とアニメーターとして常に新境地を開いてきた大友の新しい可能性……ファンでなきゃ興味無いですかねぇ。
“クールジャパン”なんぞと海外からの輸入やら官製やら判らんキャッチコピーですが、「ワンピース」や「エウ゛ァ」、ジブリとはまた違った その最先端の一つです。これも あまり幼い子供には理解不能な作品です。しかし、オタッキー向けでもなく、多分にマニアックではありますが、普遍的な価値観に裏打ちされており 殊に 「日本的なる物」“九十九”と“火要鎮”の美しさは特筆です。アニメに興味のないかたにもご覧いただきたい一本です。

ジャンル:
小説
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