大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・VARIATIONS*さくら*32(さくら編)《バレたプロモ》

2017-03-13 06:19:51 | 小説4
VARIATIONS*さくら*32(さくら編)
《バレたプロモ》



 豪徳寺の改札を出ると、デニーズの前にチュウクンが居るのが分かった。

 今月の五日に、チュウクンが元華族の四ノ宮忠八と分かってからは敬遠している。
 チュウクンとは、そもそもの出会いからして良くなかった。通学途中で、こともあろうに、この元華族の坊っちゃんは、水道工事のガードマン。電柱三本前ぐらいから目が合っちゃって、緊張したチュウクンの指示棒が、あたしのスカートをまくり上げ、その姿を後ろを歩いていたニイチャンに撮られてネットで流されて以来の縁。
 盗撮の犯人を捕まえてくれて、少し仲良くなりかけたんだけど、シッカリしてるんだかボンヤリしてるんだか分からない性格。そこへもってきて元華族の坊っちゃんが、ガードマンのバイトやってて、女子高生盗撮犯を捕まえたこと。杓子稲荷……うちのすぐ近所のアパートに越してきて、で、なんだかんだあって、渋谷でいっしょにいるところをマスコミに掴まり「元華族の御曹司、下町で庶民の生活!」と書き立てられた。
 チュウクンも迷惑を掛けたと思って、近所なのに声を掛けなくなった。

 それが、改札前の高架下のデニーズの前でニンマリ笑って、あたしと目を合わせてきた。

 シカトして行こうと思ったら、声を掛けてきやがんの。
「さくら、ちょっと!」
 シカトはかえって目立つので、渋々誘われるまま、デニーズを避け、駅の反対側のマックの二階に収まる。
「もう気にしなくていいよ。元皇族・華族のボンボンなんて竹田さんを筆頭に全国に学校一つ分くらいはいるからね。ただガードマンのバイトやってるだけじゃ、そんなに人の話題はひきつけないよ。あの特集だって、結局竹田さんと織田信成クンの人気がトップだったからね。
「だったら、もういいじゃないよ」
「実は、これ……」
 チュウクンはスマホから動画サイトを出して見せてくれた。

 あ……と思った。

 おもいろタンポポの新曲『おもいろシャウト』のプロモが、もう出ていた。
 三分半のプロモの中に0・5秒づつ7回、瞬間的にあたしが罰ゲームみたく映っているのが分かる。でも合計3・5秒。意識しなきゃ分からない。
「……と、思うだろ」
 チュウクンは画面をスクロールした。で……タマゲタ!
 曲や、おもいろタンポポへのコメントに混ざり「この瞬間映像の子はだれだ!?」というような書き込みがかなりあった!
「もう、こんなのも出てる」
 なんと、あたしのとこだけ抜き出してスローにして、一分ほどに編集したのがアップされていた!

 この子は誰だ!? オノダプロの隠し球か! キュート! 平凡の極致、それは非凡な萌!
 書き込みが、数十件入っていた。

「やだ、どうしよう……」
「アップロードされて半日でこれだもん。まだまだ来るよ」
「脅かさないでよ」
「じつは、雑誌社からボクのとこに電話があったんだ。こないだ盗撮事件で、四ノ宮さんがかかわった子、プロモの子ですよねって」
「え、もう、そんなのが!?」
「ネット社会は怖ろしいね……さくらも注意した方がいいよ」
「て、もうこんなになってちゃ、手遅れでしょ!」
「甘いなあ。これからなんだよ」

 そう言って、チュウクンはいくつかの注意をしてくれた……。

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小説
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