大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・小悪魔マユの魔法日記・40『フェアリーテール・14』

2017-08-09 06:06:21 | 小説4
小悪魔マユの魔法日記・40
『フェアリーテール・14』
      


「おかしくないのよ」
 
 分かれ道のところに、レミが立っていた……。


「ファンタジーの世界の愛情表現はさまざま。お姫さまの打ち出の小槌で大きくなっちゃうのもいるし、ガラスの靴穿いて、王子さまのハートをゲットした子もいるわ。ガラスの靴って、どう考えても穿いて歩けるシロモノじゃないでしょ。見つめ合っただけで赤ちゃんができることもあるし、木で人形の子どもを作ったら、本当の子どもになった話もあるし、人間が豚さんになって空中戦をやって、女の子のキスでもとの人間にもどったり、ま、いろいろ。マユちゃんの知り合いにもいるでしょ。アレチの魔女さんとか」
「ああ、女の子を九十歳のお婆ちゃんにして、イケメンの魔法使いが、元の女の子にもどす……あ、あの二人、行っちゃった」

 気がつくと、赤ずきんと流狼似謙信になった狼男の姿がなかった。

「多少問題はあるけど、いいんじゃない。ハッピーエンドにしたんだから。これで、とりあえず白雪姫と赤ずきんちゃんの問題が解決したわ。つぎ、お願いしていいかしら」
「もう、つぎ?」
「問題多いのよ、この世界。急場のことで申し訳ないんだけど……」
 
 そう言うと、レミは、ストローハットを思い切り空高く放り上げた。
 マユは、一瞬AKB48の『ギンガムチェック』で大島優子が、最初にカンカン帽を放り上げるのを連想した。
 ストローハットは、思いのほか高く舞い上がり、マユの視界は一瞬、青空とストローハットだけになってしまった。

 ストローハットが落ちたのは、石畳の上だった。

 さっきまでは、森の中の分かれ道。草の生えた地面と薮しかなかったのに……。
 海の香りがして、マユは周りを見た。右手の方は、桟橋がいくつもあって、小さな漁船が繋がれていた。左手は、漁師さんたちの家や、魚の水揚場、飲み屋さんなどが並んでいる。どこからか、賑やかな歌や音楽が聞こえてきて、なんとなくカリブの港町が連想された。

「そう、ここは、カリブの港町よ。マユ」
 目の前に、バミューダパンツにギンガムチェックのシャツの女の子が、ストローハットを持って立っていた。

「あ、あなた……」
「あたし、ミファ。レミに頼んでおいたの。小悪魔のマユの手が空いたら、こっちに来てもらえるように」
 そう言いながら、ミファはストローハットを渡した。
「被ってみて……うん、けっこういけてんじゃん。セーラー服にストローハット。港町にピッタリだよ。あたしに着いて来て……」
「あの、ミファ」
「なあに?」
「ここ、どこの港町?」
「あ……キューバ。街の名前はかんべんしてくれる」

 マユは、レミが言った「急場の問題」がキューバのナゾであることに気がついた……。


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