大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・連載戯曲・ステルスドラゴンとグリムの森・6

2017-06-19 06:10:24 | 戯曲
連載戯曲
ステルスドラゴンとグリムの森・6


 時   ある日ある時
 所   グリムの森とお城
 人物  赤ずきん
 白雪姫
 王子(アニマ・モラトリアム・フォン・ゲッチンゲン)
 家来(ヨンチョ・パンサ)



 暗転、フクロウの声などして、夜の森のバス停が浮かび上がる。花道を、スマホで喋りながら赤ずきんがやってくる。

赤ずきん: ごめん、今日はそういうわけで遅くなる、行けないかもしれない。
 どうしてもつきとめておきたいの、だから婆ちゃんごめんね(切る) 
 何よ、てっきり白雪さんを連れてもどってくると思ったのに、もどってきたのは、いつもどおり王子一匹! 
 白雪さんはどうしたの? あの眉間によせたシワはなんなのよ!? 
 聞いてもちっとも教えてくんないし、ヨンチョのおっさんもあてになんないし……白雪さーん……白雪さーん……と、
 ここにも姿が見えない。
 棺は空だったし、きっと森の中にいるはず、小人さんたちのところにいるはずもないし心配だなあ……白雪さーん!

 花道に、腕をつり、杖をつきながら、傷だらけの白雪があらわれる

白雪: 赤ずきんちゃーん……。
赤ずきん: あ、白雪さん……どうしたのその怪我!?(白雪をたすけ、舞台へもどる)何があったの、誰に何をされたの!?
白雪 :(泣くばかり)
赤ずきん: 泣いてちゃわからないよ。とにかく大丈夫だからね、わたしがついているから。
 スマホもあるし、いざとなったらお婆ちゃんもオオカミさんもいるからね。ね、どうしたの?
白雪: あの、あのね、ドラゴンがあらわれてね……。
 まだ夕陽が沈みきっていないのにあらわれて、ようやく動けるようになり始めたわたしを襲ったの。
 今日は側にあった棒きれで追い払ったけれど……明日は殺されてしまうわ……(泣く)
赤ずきん: 大丈夫、わたしがついているから、ドラゴンだろうが何だろうが、指一本触れさせやしないんだから……。
白雪: ありがとう……今はあなただけが頼り……小人さんたちにもあんな姿は見せられない。
 心配して、怒ってドラゴンに立ち向かうでしょうけど、とても小人さんたちの手に負えるしろものじゃない。
 逆に返り討ちにあって全滅させられてしまうわ。
赤ずきん: 大丈夫、今夜はおばあちゃんの家に匿ってもらうわ……今朝、お城に忍び込んで、王子さまと話をしたのよ。
白雪: え、お城まで行ってくれたの?
赤ずきん: 言ったじゃない、まかしといてって。水泳とロッククライミングは、白雪さんだけの専売特許じゃないのよ。
白雪: 赤ずきんちゃんもやるんだ……。
赤ずきん: あたりまえよ、友だちじゃないか! 王子さまは真面目な人だったよ。ただ真面目すぎて……。
白雪: 真面目すぎて……?
赤ずきん: 口づけをして救けてあげることはやさしいけども、その後、白雪さんを幸福にできないって。
白雪: どういうこと、他に好きな人でも……。
赤ずきん: そんなのいないよ。あの人も白雪さんのことが大好きだって!
白雪: だったら
赤ずきん: 王子さまは、去年お兄さんを亡くしたの。
 それで王位第一承継者の皇太子になってしまって、今そのための勉強と訓練が大変なんだって……。
白雪: それはわかるわ、わたしも違う王家とはいえ王族の一人。
 皇太子とそれ以下の並の王子とは、その自由さが天と地ほどに違う……。
 だけど、それを考えても、この仕打ちと言ってもいいおふるまいは理解できない。
 たとえ王子さまがどんなにお忙しく、お辛くても、それを分かち合ってこその夫婦……。
 いえ、まだ口づけも誓言も交わしあっていないから夫婦とは言えないけども。
 将来を許しあった恋人としては当然の覚悟、そうでしょ。
赤ずきん: そうだよ、それを、朝の一番鶏が時を告げる前からお城に忍び込み,
 宿直の二人を薬で眠らせて、王子さまが目覚めると同時に説得したわ。
 病めるときも貧しきときにも互いに助けあい、王子さまが帝王学を学ばれ、懸命の努力をなさっている間、
 きっと喜んで我慢も努力もされるはず。
 たとえ何日も顔を会わせなくても、たとえ夜遅く帰ってベットにバタンキューでも、
 きっと白雪さんは耐えて王子さまを支えてくれるはず。
 そう懸命にお伝えしたら、そこは賢明な王子さま、女王さまに朝の御あいさつに行かれるころには、
 ジュピターのように雄々しく……とまではいかないけども……ちゃんと白雪さん救出を神聖な使命とお考えになるようになったわ。
 わたしを近習の一人として森の入口まで、他の御家来習といっしょの供をするようにお命じになったくらいよ。
白雪: 信じられないわ……今朝の王子さまは、いつにも増して、険しい御表情でひざまづいて、
 わたしの顔をいとおしそうにご覧になって、何やらつぶやかれるばかり。
 棺の蓋を開けようともなさらずに立ち去ってしまわれた。
 ごめんなさい……一瞬ではあるけれども、あなたの約束を疑りもした。
 でも、やはり一日や二日の説得ではあの方の心を動かすことはできないのだと、あきらめ……。
 いえ、気長に待つことにしたの……でも、あのドラゴンののさばりよう……気長に待つうちに、
 日干しのミイラになる前に骨にされてしまいそう……。
赤ずきん: しっ! 伏せて、何か邪悪なものが……

ジャンル:
小説
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