大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 03『わが一年A組の担任は来栖みくるだ』

2017-06-15 15:05:00 | ノベル
新連載! 
高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 
 03『わが一年A組の担任は来栖みくるだ』




 わが一年A組の担任は来栖みくるだ。

 去年、教師になったばかりで担任を持たされている、不幸な先生だ。
 四月当初は女子高生みたいな内ハネのショ-トボブだったけど、髪を伸ばし始め、今は肩まで二センチほどのボブになっている。
 もう少し伸びたら、クルリと巻いてシニヨンとかいうお団子にするという、もっぱら女子たちの噂。
「でも、あの童顔じゃ似合わないよねえー」
 噂は、そういう結論を持っていたが、お行儀のいい女子たちは言わない。言わないで、みくるちゃんが(ちゃん呼ばわりは生徒の間だけで、けして大っぴらには言わない)めでたくシニヨンにした時に陰口を叩こうと言う腹だ。

 そのみくるちゃんが、教壇でオタオタしている。

 キビキビと出席をとったとこまではいいのだが、そのあと伝えるべき連絡事項を書いたメモを無くした様子なのだ。
「え、えと……水泳の授業、たしか来週からで、あ、これは終礼でもいいんだ。えと……自転車保険が……あ、昨日言ったっけ。だから……図書室の……分かんないや……あ!?」
 みくるちゃんの目は教室後ろの個人ロッカーの上あたりで静止した。
「あ、ファイルとノート!」
 みんなの目が一斉に個人ロッカーの上に向く。

 そこには、昨日の授業と終礼で集めた個人ファイルと総合学習ファイルとクラス全員分の国語のノートが載っていた。
 みくるちゃんが集めて持っていくのを忘れているのだ。

「あ、あれ、職員室と国語準備室に……芽刈さん、お、お願いね」

「今からですか?」
「え、あ、個人ファイルは直ぐだけど……」
「分かりました」
 舞はスックと立ち上がり、教室の後ろに向かった。
 舞は学級委員長をやっているのだ。ファイル二箱とノートの束を持ち上げる気配。
「うんしょ……」
 あの量は、ちょっと持ちきれないだろう。
「あ、えと……新藤君、手伝ってあげて」
「え、あ、はい」
 みくるちゃんに他意はない、俺が舞の近くに座っているからだ。
「ありがとう新藤君」
 兄妹であることをおくびにも出さず、クラスの男子に対する過不足のない笑顔で礼を言う。

 その時、教室の前のドアが開いた。隣りのクラスの副担任が顔を覗かせている。

「失礼、このクラスに芽刈舞……あ、君か、階段のところで落とし物、君宛てだ」
「あ、どうも」
 みくるちゃんが受け取って渡してくれた封筒は封が切られていた。
「これ……」
「ああ、封筒の表には何も書いてなかったんで、芽刈舞の宛名しか見てないから、じゃ」
「ありがとうございました」
 神妙に礼を言っているが、頭に来ていることは兄妹だからよく分かる。
 でも、これで頭に来るのはお門違いだろう。
「じゃ、先生、行ってきます。新藤君、行こうか」

 俺たちは、職員室から国語準備室と回り、始業前で人気のない廊下を教室に向かった。

「ちょっと生徒会室に用事があるの、付いて来てくれる」
 目だけ笑わない笑顔で俺に指示する。
「え、あ、でも鐘が鳴るぞ」
「時間はとらせないから」
 歩きながらポケットをまさぐり、生徒会室に着くと素早くドアの鍵を開けた。
「ごめんね新藤君、さ、入って」
「あ、ああ」

 ガチャリ

 鍵を掛けると、オーロラ姫に魔法をかける寸前の魔女のような顔になる舞。

「あんた、わたしの後で拾っておいて、なに落っことしてんのよ!」
「いや、待て、俺はだな……」
「唯と階段上がった時には気づいていたわよ、あんたが拾ったのもね……拾ったんなら責任持ちなさいよね! このボンクラアアアアアアアアア!!」
 俺はとっさにハイキックをかわす動作をとった。

 敵は、ローキックをかましてきやがった!

 ドガブヒェッ!!

 記憶が飛んでしまった……。
 
 
ジャンル:
小説
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