大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・乃木坂学院高校演劇部物語・34『第七章・6』

2016-10-20 05:58:55 | 小説7
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・34   

 これは前出の『まどか 乃木坂学院演劇部物語』の初稿です。紛失していたもが出てきましたので再掲載しました。

『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』姉妹版


 この話に出てくる個人、法人、団体名は全てフィクションです。


『第七章 涙を乾かすには優しすぎて……6』


 明くる日、かかりつけのお医者さんに行った。

「もう、大丈夫だ、明日……は、土曜か。月曜から学校行っていいよ」
 先生が、狸のような体をねじ曲げ、カレンダーを見ながら言った。
「あの……」
 と、カーディガンを着ながらわたし。
「うん?」
 カルテに書き込みしながら、横顔で先生がお返事。
「明日、外出してもいいですか?」
「デートかい?」
 と、カルテをナースのオネエサンに渡しながら先生。
「そ、そんなんじゃないですよ!」
 ナースのオネエサンが笑っている。
「ま、あらかわ遊園ぐらいにしときな……日が落ちるころには帰ること。で……」
「手洗いとウガイ!」
「まどかも、そんな歳になったんだ……」
 わたしの方に向き直った拍子にハデにオナラをした。
「ハハハ、歳くうと緩んできちまってな……窓開けようか。昼に食った芋がよくなかったかな」
 狸先生は、お尻を掻きながら窓を開けた。思わず笑ってしまう。
 このユーモラスなカワユサに騙されて、ガキンチョのころ、よく注射をされた。
「アハハ」
 と、笑っているうちに、ブスリとやられる。油断のならない狸先生だ。
「あらかわ遊園に行くんだったら、一つ教えおいてやろう。まどかもジンちゃん(うちのお父さん)に似て雰囲気と行きがかりってのに弱えからな……」
 老眼鏡をずらして、おまじないを教えてくれた。
 思わず吹きだした。狸先生は、いつもこんな調子。昔ケンカ別れしかけたお父さんとお母さんを、こんなノリでヨリを戻したこともあるそうだ。
 ま、そのお陰で、わたしがこの世に生まれたってことでもあるんだけど。
 帰りに、しみじみと古ぼけたなじみの看板を見た。
――内科、小児科。薮医院……と、診療室の開けた窓からハデなくしゃみが聞こえた。


 狸先生に言われたからじゃない。
 ここからやり直してみようと思ったのよね。

 床上げ祝いにもらったシュシュでポニーテール。ピンクのネールカラー、サロペットスカートの胸元には紙ヒコーキのブロ-チ。そんな細やかな、ファッションへの気遣いにあいつは気づきもしない。
「思ったより元気そうじゃん」
 と……間接話法ながら一応の成果はある。病み上がりと思われるのヤだったから。
 あらかわ遊園、観覧車の前。むろんあのときのクソガキはいない。
「ここで、まどかが『キミ』なんて言うから」
 ヤツ……忠クンが口を尖らせた。
「忠クンの言葉、あのときはとても飛躍してるように感じちゃって……」
「観覧車が回り終えるまでに言わなきゃと思っちゃってさ……」
「で、精一杯アタマ回転させて出てきたのが、あのストレートなんだよね」
「言ってくれんなよ……」
「わたしもゴンドラが着くまでに答えなきゃって……この観覧車、速いのよね。お返事考えるのには」
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