大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 14『舞は両手で顔を覆って泣き出した』

2017-07-06 11:07:00 | ノベル
 高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 
 14『舞は両手で顔を覆って泣き出した』

 


 俺に聞くなよ

 目を合わさずに呟くように返事した。


 はた目には、すれ違っただけにしか見えなかっただろう。
 俺は振り返ることなく階段を下りて食堂に向かった。俺の数歩後ろには、トイレから出てきて追いつこうとしている武藤が居る。
 武藤はイカツイ柔道部だが、保健衛生的な潔癖症がある奴で、トイレを出る時にはこれから手術にかかる医者かというくらいきっちりと手を洗う。だから、昼飯前の連れションでも俺に後れを取る(あ、俺が全然手を洗わないってことじゃないから)
 昼飯前がいつも連れションというわけでもない。
「柔道部の今後についてアドバイスが欲しい」
 俺を勧誘したいという下心見え見えのフリなんだけど、逃げてばかりでは友人関係にヒビが入る。
 俺は、なにごとも波風立てず平穏無事に生きて行こうという模範的高校生なんだ。

「おい、芽刈さん、なにか言ってなかったか?」

 廊下で追いついた武藤が横並びになりつつ聞いてくる。
「え、あ、歌でも口ずさんでたんじゃねーか」
「にしては真剣そうだったけど」
「芽刈さんは多忙だからな、関根さんに誘われてモデル業も始めたって噂だし」
「ああ」
 舞がモデルになったというのはバレている。だれかがネットで見つけたらしいんだけど、舞自身のイカシタ雰囲気が、学校関係者をして大いに首肯せしめた。担任のみくるちゃんなどは「えー、今まではモデルじゃなかったの!?」とラブライブサンシャインのキャラみたく目をきらめかせて驚いていた。
 俺は、こういう驚き方をするみくるちゃんを不覚にも可愛いと思ってしまった。
「でもモデルだったら歌か?」
「声優とモデルってのはオールマイティーでなきゃやってけないんだぞ、お前の筋肉脳みそじゃ理解できないかもしれないけどな」
「はー、そういうもんか……」
 武藤は無邪気に感心した。潔癖症はともかく、こういう無邪気なところは好ましい。

「あ、新藤君、先生が呼んでる!」

 角を曲がったら食堂というところで舞と鉢合わせ。
 こいつ、校舎をぐるっと回って待ち伏せしてやがった。額に汗を浮かべ息を切らしてやがる。
「え、すぐに?」
「うん、わたしも付いていくから、ね」
 
 ウ……とちくるって俺の手を握りやがった。

「すまん、ちょっと行ってくる」
 羨ましそうな武藤の視線を感じながら俺はひかれるまま職員室への階段を上がった。
 で、職員室の前は素通り……予感した通り生徒会室に拉致られた。

「こんなことしたら、目立っちまう……」

 意見しようとしたら、舞の目は涙に潤んでいた。
 生徒会室に連れ込まれたらローキックかハイキックかと覚悟していた俺は戸惑ってしまう。
「どうしよう、どうしたらいい?」
 この狼狽え方から、梶山のことだと見当がついた。
「落ち着け、落ち着いて問題を整理しろ」
「だって、デートしてくれって言われちゃったよ!」
「デート?」
「困るよ困るよ!」

 そう言うと、舞は両手で顔を覆って泣き出した。

 この狼狽えぶり、兄妹の俺でも半分分かって半分は分からない。
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小説
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