大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・新希望ヶ丘青春高等学校物語・49『スリーギャップス』

2017-05-18 06:25:40 | 青春高校
新希望ヶ丘青春高等学校物語・49
『スリーギャップス』
     


「栞、Bスタジオまで……ほら、急ぐ!」
 
 午前のレッスンが終わって、控え室でお握りを頬張っていたら、鼻に絆創膏を貼ったMNBの専属作曲家の室谷雄二に呼び出された。
「は、はい!」
 栞は、お茶でお握りを流し込み廊下に出た。室谷は、もうエレベーターの前にいて、エレベーターのドアが開きかけていた。
「うわー!」
 慌てて、エレベーターに乗り込むと叱られた。
「アイドルは、仕事以外では走らない!」
「はい」
 気難しい人だと思った。
「ほら、これ栞のパート」
 ナニゲに渡されたスコアに戸惑っているうちにエレベーターは一階上のフロアーに着き、あと二三歩でBスタジオというところで、室谷の背中にぶつかった。なぜかというと、室谷が急に立ち止まったからである。室谷は勢いでドアに顔をぶつけた。
「イテー! オレ、さっきもぶつけたところなんだよ! なんでMNBは、ガサツな奴が多いんだろうね」
「すみません」
 室谷さんが急に止まるから……と思いながらも、栞もスコアを見てテンパっていた。

 スコアのタイトルは『そうなんですか!』になっていたから。そう、栞の一言で流行ったギャグである。

「失礼します」
 ドアを開けて、さらにテンパッタ! スタジオにはプロディユ-サーの杉本、MNBセンターの榊原聖子、三期生で売り出し中の日下部七菜の、研究生の栞から見れば、雲の上の人間が揃っていた。
「室谷さん、また顔ぶつけました?」
 聖子が、おかしそうに聞いた。
「MNBは、そそっかしいのが揃ってるからな」
「室谷ちゃん含めてね」
 杉本が、体を揺すって笑った。七菜も俯いているところをみると同じ目に遭ったんだろう。
「とりあえずスコア見てくれよ」


 《そうなんですか!》  作詞:杉本 寛  作曲:手島雄二

 ホ-ムの発メロが鳴る階段二段飛ばしに駆け上がる 目の前で無慈悲にドアが閉まる

ああチクショー! このヤロー! 思いがけないキミのため口

駅員さんも乗客のみなさんも ビックリ! ドッキリ! コレッキリ!

ああ カワイイ顔して このギャップ
 

あの それ外回りなんだけど

 そうなんですか しぼんだようにキミが呟く

 新学期 もう夏だというのに いいかげん覚えて欲しいな電車の発メロぐらい

 でも 愛しい ピンのボケ方 このギャップ そうなんですか そうなんですか


 昼休みチャイムが鳴る廊下優雅に教室に向かう 開けたドアみんなが起立していたよ

 ええ うそ~! ええ ど~して! 見かけに合わないキミの大ボケ

 クラスメートも先生も ビックリ! ドッキリ! コレッキリ!

 ああ カワイイ顔して このギャップ

 あの 今の本鈴なんだけど

 そうなんですか 他人事みたいキミが呟く

 新学期 もう夏だというのに いいかげん覚えて欲しいな予鈴と本鈴ぐらい

 でも 愛しい ピンのボケ方 このギャップ そうなんですか そうなんですか


 照りつける太陽 砂蹴散らして駆けまわる ビキニの上が陽気に外れかかる

 ええ うそ~! なんで今~! 天変地異的キミの悲鳴

 ライフセーバーさんもビーチのみなさんも ビックリ! ドッキリ! コレッキリ!

 ああ キミは飛び込む 波打ち際

 ああ たしかキミはカナヅチなんだけど

 そうなんですか でも助けてとキミが叫ぶ

 夏休み もう真っ盛り いいかげん覚えて欲しいな犬かきとボクの気持ちぐらい

 でも 愛しい こ~の無神経 このギャップ そうなんですか そうなんですか 

 そうなんですよ ボクの愛しいそうなんですよ ボクの青春のそうなんですよ 人生一度のそうなんですよ

 Yes! そうなんですよ!



「このユニット名は、スリーギャップス」
「スリーギャップス?」
「そう、ベテランと中堅と駆けだしのミスマッチ」
「そう、栞はミス・マッチ」
「マッチですか!?」
「そう、栞の荒削りな馬力と根拠のない自信。こいつで火を付けてみようと思う。今日は曲をしっかり覚えて、明日は振り付け。来週の習慣歌謡曲で発表する」

 かくして、栞のヒョウタンから駒が出た……!

ジャンル:
小説
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