大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル🍑MOMOTO🍑デブだって彼女が欲しい!・49『……うちの家』

2017-04-20 06:16:00 | ノベル
🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!・49
『……うちの家』



 
 これには二つの理由がある。

 一つは、お袋が起こしにきたこと。
 オレは常日頃から、朝は自分で起きる。とくに寝起きがいいわけじゃないけど、ベタベタした母子関係が嫌なんで、起こされる前に起きる。で、いまは春休みなんで、いつもの時間に起きる必要が無い。だから、朝の9時半に起こされたとき、なにかとんでもないことが起きたんじゃないかと(たとえば親父が殉職したとか)ドキっとした。
 二つ目は、お袋の様子。
 ジーパンに赤のキャミソール、手には丈の短いオフホワイトのスプリングコート。お袋の実年齢よりは10歳は若いナリだ。
「泊りがけでバイトに行くことになったから、一週間ほどは帰らない。机の上に生活費置いといたから」
 それだけ言うと、さっそうと回れ右して階段を下りて行った。
「なんだよ……」
 そう呟くのがやっと。起き抜けの頭は、まだ二割程度しか働かない。
――あ、それから、週末にはお祖母ちゃん看にいったげてね!――
 若やいだ追伸が聞こえて、玄関のドアが開閉する音がした。そして静寂。

「ひょっとしたら、バラバラになるかもしれないね……うちの家」

 ゆうべ、ベッドの中で桃が呟いた言葉が蘇る。呟いた後、桃は赤ん坊のようにしがみついてきた。
 不憫な妹だ。幽霊になってなお、生きている家族のことに胸を痛めている。

 不甲斐ないデブ兄貴ですまない。

 こういう時は、習慣の中に潜り込むのが一番だ。
 もっとも習慣といっても春休み。飯を食って顔を洗ってトイレに行ったらやることがない。
――桜子の顔見に行こうか――
 そう思ったが、こんな低いテンションで会っては、せっかく取り返した二人の関係を危うくしそうなので、すぐに頭から消した。

 冷凍庫を開けて、大盛りのナポリタンを取り出す。

 レンジに放り込もうとしてためらう。エイヤ! と冷凍庫からもう一つ取り出して、二つをレンジの中に安置する。
 朝食はナポリタンの大盛り一つと決めていたが――きょうぐらいはな――と言い訳する。
 ナポリタンが熱々になるまでテレビを点ける。たまさかのNHK、四月から始まる連ドラの紹介をやっている。ついこないだ『あさがきた』が始まったと思っていたら、もう半年がたっているんだとため息が出る。
 この半年のオレの変化……体重が110キロになっちまった。でも、桜子との関係は、桜子にヘゲモニーを握られているとは言え取り戻せた。家族がバラバラ……それは考えないようにしようとしたところで、レンジが任務終了のチン!

 フォークにパスタを絡めたところで、スマホが鳴った。

 一瞬迷って、ナポリタンのトレーを持ったまま二階に戻る。八瀬からの電話だ。
――お、起きてたか親友!?――
「なんだ、朝からハイテンションだな」
――ハハ、いいニュースだ。泊りがけでバイトしないか!?――

 10分後、オレは泊りがけのバイトに行くために駅前を目指した。百戸家解体の危機を感じながら……。
ジャンル:
小説
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