命育む感動の大地

本日、フロンティアエイジ2月15日プレミアム号を発行しました。 第1面より

命育む感動の大地

 南部アフリカの3ヵ国を巡る

  水辺に群れ集う多彩な動物たち 大瀑布またぐ虹波穏やか喜望峰

目の前をゾウの大群がゆったりと歩く、そこにも向こうにも。シラサギを背に乗せたのもいる。さらにカバ、インパラ、キリン、野牛などの群れ。「なんという光景・・・」。シャッターを押すのも忘れて呆然と眺め続けた。南部アフリカの印象は強烈だった。(高橋徹)

 昨年秋、3カ国を9日間で巡るツアーに参加した。関西空港から香港で乗り継ぎ13時間で南アフリカ共和国のヨハネスブルク。そこから1時間半余でジンバブエのビクトリアフォールズ空港に着き、市街地中心部にあるビクトリアの滝近くのホテルに入った。世界三大瀑布の一つである滝は隣国ザンビアとの境界を流れるザンベジ川にあり、最高のポイントはジンバブエ側の国立公園内。幅1.7キロの川の水が各所で一気に地溝になだれ落ちて最大落差は108メートル。乾季で水量は少ないというが100メートルを超える水煙が上がり複数の虹が立つ。後日、遊覧ヘリからも眺めて雄大さに驚嘆した。

 翌日は隣国ボツワナのチョベ国立公園でのサファリ。1時間余り走って国境を越えると、サファリ用に改造された幌付き4輪駆動の日本車が待っていた。午前中はチョベ川右岸の森を巡る。うっそうとしたジャングルを想像していたが、乾季で木々は葉を落とし、遠くまで見通せた。午後はボートでのサファリ。

 ゾウやカバたちの大群を目撃できたのは、ゆるやかな流れの川辺や無数に点在する中洲。そこは草に覆われて絶好の餌場になっており、日なたぼっこするワニも見た。

 現地3日目の午後、ヨハネスブルクに引き返し、南ア最大のタウンシップ(旧黒人居住区)ソウェトへ。20年ほど前まで、アパルトヘイト(人種隔離)で黒人はタウンシップにしか住めなかった。その政策に反対して27年間投獄され、後に大統領になったマンデラもこの地の出身。生家はマンデラハウスとして公開されているが、反アパルトヘイトの国際世論を高めた軍による虐殺事件現場の記念碑とともに車窓からの見学だけなのは残念だった。

 翌日は郊外の文化村などを訪ねた。あちこちに点在する「マインダンプ」と呼ばれる人工の丘は、金の採掘で運び出された土によるボタ山。金鉱の発見で生まれた都市ヨハネスブルクの往時を語る歴史遺産だった。

 ケープタウンに戻って郊外のステレンボッシュの宿へ。翌朝「ここはまるで地中海よ」という妻の声で目ざめた。窓の外には広々としたブドウ畑が続き白壁の農家集落。17世紀末にヨーロッパ人によって開かれたここはケープタウンに続いて古い町。ワインの産地とあってこの日はワイナリ―見学に時間が割かれた。

 ケープタウン観光の見どころのひとつは、市街地の西にそそり立つ平らな頂上のテーブルマウンテン(1086メートル)。山頂までロープウエーで行けるが、気象条件によって頻繁に運休する。幸い雲ひとつない天候で私たちはロープウエーに乗り込めた。

 喜望峰はケープタウンの南50キロにある岬。「地の果ての岬」の発見が大航海時代の幕をあけ、当初は「嵐の岬」と呼ばれたと学校で習った。怒涛の海に面して立つ雄大な岬を想像して訪れたが、目にしたのは穏やかな海と意外に小さな岬だった。

 喜望峰への途中、オットセイの島や、民家近くの海岸にあるアフリカペンギンの生息地を見学した。その健気な生き様は、自然地形そのままのカルステンボッシュ植物園に咲く色鮮やかな多様な花と同様に心を和ませる。

 訪れた3カ国いずれにも近代化の波が押し寄せてはいるが、豊かな自然はたっぷり残され、動物も植物も太古からのサイクルの中で大らかに命を育んでいる。「地球は人間だけのものではない」。それを改めて痛感させられた。

ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」プレミアム号
オフィシャル・ホームページ http://www.f-age.com/premindex/
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