パオる象は喰わない@トム・ヤム・クン!

全盛期のジェリー・ブラッカイマーを思わせる本格ハリウッド・スタイル・アクションの傑作いつが全盛期だったかとか聞いてはいけない)。
導入部でいきなり「像は怪獣である」と宣言をしてくるから、正直焦った。
いや、やはりトニー・ジャーということで、『マッハ!』みたいな映画なのかなあ、と思ってたもんで。
全然違うじゃねーか!と。

というわけで、この映画は『マッハ!』のごとく、トニー・ジャーの格闘を長回しで見せるような一人芸見せっぱなし映画ではない。
むしろ、とにかく(ハリウッド・スタイルなので)カットを割る、割りまくる
カットを割ったら割ったで、それで見せることができるのも映画だ、ということ。
なおかつ、まるでデ・パルマの覗き見趣向的長回しで撮ったような塔のアクションなどもあり、本当に何でもアリだ。
これはもう、トニー・ジャーを追いかけるだけの映画ではない。
トニー・ジャーという人間凶器を存分に生かしつつも、カーチェイス、ボートレース、ヘリ、爆発など、あらゆるアクション/格闘要素を貪欲に取り込んでいる。
つまり、これはトニー・ジャー主演の、ブラッカイマー・スタイルで作られた『キル・ビル』なのだ。
事実、終盤の方にある骨がパキパキしていくところなどは爆笑してしまった。
これは、『キル・ビル』にはなかった笑い、まるで「少年ジャンプ」のやりすぎたときの笑いと同じものだろう。
トニー・ジャーの夢想として、カクカクしたプレステのCGみたいので象と人の大戦闘場面を挿入してみたりと、やるべきことはすべてやったという充足感もある。
これで文句言ったらバチが当たるというものだ。
物語の方もなにげにちゃんとしており、『注文の多い料理店』をアレンジしたような、それでいて象という愛すべき怪獣を話の中心の据え続けるあたりが分かっている。
だから、タイトルの『トム・ヤム・クン!』も料理店の名前なのね。

映画の方向性としては上品とは言えないかもしれないが、おれの感覚的基準では本年度最高の1本であることに間違いない。
超ド級だというだけで、この映画は十分過ぎる。

業務報告
●しかし、いきなりこんなビッグ・バジェットな映画をモノにしちゃうなんて、プラッチャヤー・ピンゲーオの力量もハンパないな。
ただの格闘好きなおっさんじゃなかったんだ(そりゃそうだろ)
●あ、言い忘れたけど、この映画はギャグのノリも最高だぞ。
空港ですれ違い様に肩がぶつかった中国人(ぽい人)が突然ファイティング・ポーズをとる、とか。
象を探してタクシーに乗ったトニー・ジャーが「(探しているヤツの)人相は?」と聞かれ、「象だ」「象みたいなヤツか・・・」という会話の流れなど、おれはひとりで笑っていた。
グローバリゼーションに乗っかった、こういう映画もアリなんだな、と。

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コメント ( 5 ) | Trackback ( 9 )
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コメント
 
 
 
エネルギー (kimion20002000)
2006-10-19 17:53:33
TBありがとう。

なににしても、いろんなこと、全部やってみたかったわけでしょうね。珍しく、お金が使えたんでしょう。

やってみないと、うろんな撮影術も蓄積されないわけで、タイアクションムービーに関して、いい基礎固めができたと思いますね。
 
 
 
Unknown (nappa)
2006-10-19 18:01:57
 はじめまして。TBありがとうございました^^「トム・ヤム・クン!」最高でしたね~。あの中国人っぽい人はジャッキー・チェンのそっくりさんだった気が・・・



 実はryoddaさんのブログはちょっと前からリンク貼らせてもらってます(確か「ナイロビの蜂」でTB交換だけした時以来かな?無断リンクでスミマセン^^;)



 ryoddaさんの独特で説得力ある文章はいつもすごいなぁと思いつつ読ませていただいてます。自分の文章力の無さも実感しますが(汗)



 最近では「ブラック・ダリア」が良かったなぁと思いつつ感想書いたら何が良かったのかうまく説明できなくて変な文章になっちゃったのと「ダリア」への酷評の多さでへこんでましたがryoddaさんが星取で満点ということでレビュー楽しみにしています。



 では長文失礼しました~^^;
 
 
 
kimion20002000&nappaさん、 (ryodda)
2006-10-20 15:07:43
コメントどーもでした。



>kimion20002000さん

基礎のレベルを超えちゃってる気もしますが・・・

まあ、この映画自体がすごい事件みたいな感じだとは思います。

タイがフィーバーするかどうかは疑問ですが。



>nappaさん

>実はryoddaさんのブログはちょっと前からリンク貼らせてもらってます(確か「ナイロビの蜂」でTB交換だけした時以来かな?無断リンクでスミマセン^^;)



けしからん!なんていうわけもなく、どうぞご自由に。



>ryoddaさんの独特で説得力ある文章はいつもすごいなぁと思いつつ読ませていただいてます。



いやー自分でもそうじゃないかなあと思ってんですよ!(←悪い例)

褒められ慣れてないもんで、えへへ、って感じですね。



>最近では「ブラック・ダリア」が良かったなぁと思いつつ感想書いたら何が良かったのかうまく説明できなくて変な文章になっちゃったのと「ダリア」への酷評の多さでへこんでましたがryoddaさんが星取で満点ということでレビュー楽しみにしています。



その『ダリア』レビューもアップしました。

もし気が向かれたら、そちらにもコメントくださいね。

『ブラック・ダリア』は傑作!ですよ!
 
 
 
こんにちは! (猫姫少佐現品限り)
2006-10-22 13:25:36
いつもありがとうございます!

どこかのブログで、あの中国人(?)

本人さんだとおっしゃっていたような気が、、、

あたしはマッハ!よりも、ずっと良かったです。
 
 
 
本人!? (ryodda)
2006-10-24 11:23:15
猫姫さん、レス遅れてスミマセン。



あの人、ご本人なんですか!?

だとしたら太っ腹でアッパレですねえ。

これから確認してみようかな・・・



この映画は、私的年間ベスト10入り確実!のハチャメチャな傑作でした。
 
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