言葉の泉

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無人島に生きる十六人 (新潮文庫)

2017年06月13日 | 書評
無人島に生きる十六人 (新潮文庫)
須川 邦彦
新潮社

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たまには頭の中をからっぽにして、すかっとしたい人の為にこんな本はいかがでしょうか?

明治31年、帆船・龍睡丸は太平洋上で座礁し、脱出した16人を乗せたボートは、珊瑚礁のちっちゃな無人島に漂着した。
これは実話である。
水もない無人島でのサバイバルに欠かせなかったのは16人全員の心が一つとなって気弱になることなく前向きに過ごすことだった。
それは船長を軸として心の土台を築くことにあった。
無人島に漂着した日、船長はある決心を年長の3人(運転士、漁業長、水夫長)にこう伝えた。
いままでに、無人島に流れついた船の人たちに、いろいろと不幸なことが起こって、そのまま島の鬼となって、死んでいったりしたのは、たいがい、じぶんはもう、生まれ故郷には帰れない、と絶望してしまったのが、原因であった。私は、このことを心配している。いまこの島にいる人たちは、それこそ、一つぶよりの、ほんとうの海の勇士であるけれども、ひょっとして、一人でも、気がよわくなってはこまる。一人一人が、ばらばらの気持ちではいけない。きょうからは、げんかくな規律のもとに、十六人が、一つのかたまりとなって、いつでも強い心で、しかも愉快に、ほんとうに男らしく、毎日毎日をはずかしくなく、くらしていかなければならない。そして、りっぱな塾か、道場にいるような気もちで、生活しなければならない。この島にいるあいだも、私は、青年たちを、しっかりとみちびいていきたいと思う。

そしてどんなことがおこっても怒らないこと、叱ったり、小言を言ったりしないと決めたのだった。

水もない砂だらけの無人島で水の確保や食糧の確保、住まいの建設、近くの島への探検と調査など人間の知恵の働かし方には目を見張らされる。
無人島へ16人もの男が流れ着くと必ず誰かがわがままだったり自分勝手になるものだけれど、リーダシップのもとすがすがしいばかりの一致団結である。
時には笑い声が無人島に響いたり、アザラシと友達になったりと悲壮感が一つもないのは全員がすかっとした海の男の魂を持っていたからだ。
いつの日か助け出されたその日には日本の海の男のみだしなみとして恥ずかしくないように船長は船長帽を他のものはズボンと上着を大切にすることを忘れなかったとはまったく泣かせる。
そしてついに無人島でのサバイバルが終わりとなり助け出されるときは読みながら拍手喝采である。
一人一人の力は弱いけれど一人一人の真心と知恵と努力を集めた16は大きい。
リーダシップとはかくなるものだと思わされた。

一国の総理が国家予算を私有化し、友人のために湯水のように税金を使い、官僚を思うままに操り、国民をなめきっている昨今の状態は嘆かわしい限りだ。
 お手本になる大人が経験と実績が積み重なっているがゆえ下のものはついてくるのである。
 無人島ではなおさら机上の空論などは役に立たない。
 ましてや学歴や家柄などなんの役にもたたないのである。

 子供の頃こんな物語を読んだらどんなにかすがすがしく前を向いて生きて行きたくなるだろうと思う。
 パソコンやゲーム機に張り付いていないでこんな実話を読んで心を広く生き生きとした世界があることを知ってほしいものだ。
 大人が読んでも勿論楽しい。リーダーシップとはかくなるものと学べるであろう。

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4 コメント

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昔々ですが (雀(から) )
2017-06-13 22:01:26
ジュールヴェルヌだったと思います 十五少年漂流記というのがあって ワクワクしながら 読み進んだものでした🙌
雀(から)さんへ(15少年漂流記) (ろこ)
2017-06-13 22:09:32
雀(から)さんへ
 こんにちは。
 そうそう。『十五少年漂流記』を夢中で読んだ時期がありました。
 その後はロビンソンクルーソーなどと変わりましたが、やはり少年少女にとって、自分と同じ年齢の子供たちの漂流記は胸が高鳴りますね。
 雀(から)さんは、子供のころから読書好きだったのですね。良い本をお読みになっていらっしゃいました。
 感性が豊かなわけです。
漂流記 (cocoa)
2017-06-14 14:13:16
こんにちは
私も子供時代に漂流記が好きでした。
私の一番気に入っていたのは「スイスのロビンソン」と言う題だったと思いますが、家族での漂流記でした。
それと「ロビンソン・クルーソー」
漂流記ではないけど、偉人伝でシュバイツァーが、アフリカでピアノの調律を自分でしていたのを読んでいたので、オルガンの簡単な修理くらい自分で、パンも小麦を育てて焼けなければ・・・など考えていました。
「無人島…十六人」は読みたいですね。
子供時代は無人島でどんな工夫ができるかに興味があったのですが、本当は家族関係にもひかれていたのかもしれません。
cocoaさんへ(人生の漂流) (ろこ)
2017-06-14 19:58:45
cocoaさんへ
 cocoaさんも、子供時代に漂流記ものをたくさん、お読みになったのですね。
 何もないところから、人間は何ができるか?文明の利器に淫されている私たち現代人にとって、電気も水道もガスもなく、食べ物も自分で狩りをしないと餓えてしまうという体験はある種の恐怖であり、いまだかつて経験したことがないものですよね。
 災害に逢うと、誰もがその状態になるわけです。
 火を起こす技術も知恵もないことに愕然とします。
 漂流記は、人間が何もない状態からどれだけ生きる知恵を発揮できるかを学ばされます。頭がよいだけでは生きていけないこと。自分勝手は身を滅ぼし、周りのものも滅ぼすことを教えてくれます。
 cocoaさんが家族関係に惹かれたことは深いですね。
 

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