言葉の泉

一粒の種から言の葉が茂ることを願って。

味な話

2017年03月15日 | 日記その1

「今日は美容院に行くけれど、お昼ごはんどうする?」
 夫に尋ねると、
 「お弁当を作っておいてくれよ。久しぶりにお弁当食べたくなった」
 と答えた。

 自宅で開業するまでは毎日お弁当をもって出勤していた夫。
 朝早く起きての弁当作りは主婦にとって時間と手ぎわの良さが勝負だ。
 信号のように緑、赤、黄色の三色の野菜を入れ、動物性タンパク質を忘れずに。
 そうそう「ビタミン愛」を入れ忘れないことが肝要だ。

 このお弁当は二人を結びつけた縁結びのアイテムだった。
 貧乏学生の私たちはデートにお金をかけれないので、お弁当をもって山登りが多かった。
 おいしい味の手つくり弁当に彼は心底喜び、愛は育まれていった。
 
 そしてこの味にほだされた彼はついにプロポーズ。
 結婚してみて彼は死ぬほど驚くこととなった。
 私は料理をしたことがなかったからだ。
 死にそうに美味しいお弁当は母の手作りだったからだ。

 ちなみに私は一度も私が作ったお弁当とは言った覚えがない。
 善意の錯覚。誤認である。
 夫は「結婚詐欺にあった」と叫ぶがもう遅い。

 しかし、そのつけはやがて私自身に回ってきた。
 三男の夫に、もれなく姑、小姑がついてきたからだ。
 三男だから結婚したのに「結婚詐欺だ」
 と今度は私が叫ぶ番になった。
 盆暮れは親戚一同集まるので数十人分の料理をひとりで作る難行苦行が始まった。

 戦いすんで日が暮れて。
 今や私の味を懐かしんで集まる人もいる。
 月日は人と味を育むものかな。


・つくし飯 母に供える彼岸かな (ろこ)

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8 コメント

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たとえ (tappe)
2017-03-15 18:09:38
善意の誤解でも結婚詐欺でも幸せな生活を送られたのは互いに信頼と愛を育まれてきたからでしょうね。コメントの端々にそれを感じます。
私たち夫婦もたくさんの善意の誤解に未だに戸惑いながらも半世紀あまり、なんとかここまで過ごしています。
tappeさんへ(サギ) (ろこ)
2017-03-15 18:30:50
tappeさんへ
 ありがとうございます。
 tappeさんご夫妻は、結婚歴、半世紀あまりとか。
 誤解も何も、ひっくるめて愛を育まれての半世紀だったのでしょうね。
 時が人を育ててくれますね。
 花を愛し、人を愛し、人の世を慈しんで過ごされているなあと、ブログを通りして感じます。
 見習いたいです。
美味しそう~! (みいやん)
2017-03-15 20:16:37
ろこさん~こんばんは!

綺麗で美味しそうなお弁当ですね。
ろこさんが愛情豊だっていう事が分かります。
私は子供には作りましたけど。
パパさんには作ってあげた事は結婚してから少しの間だけです。
後はあまり作ってあげた覚えがありませんよ。
冷たいのかな(笑)

お母様の美味しいお弁当にすっかりと(笑)
でも結果は良かったのですから微笑ましくって笑ってしまいました。

ろこさん~可愛いです。

そして...盆暮の集まり...長男でもないのにね。
大変でしたね。

でも今ではろこさんのお料理を待っていらっしゃるという事ですからそれはそれで幸せですよね。


つくしのごはん~初めて見ましたよ。
どんなお味なのかしら?
つくしは食べた事のない私です。
みいやんさんへ(尽くしのごはん) (ろこ)
2017-03-15 21:00:32
みいやんさんへ
 はい。お互い結婚詐欺でした(笑)
 三男なのに結婚して1年もたたないうちに義父母と義妹が、もれなくついてきたのですから、驚き桃の木山椒の木です!
 みいやんさんは、お料理の先生のようなすごいレシピを毎日作っているのですから、すごいです。
 手の込んだものばかり。
 ぁ、思い出した。私と同じ年の義妹のために、お弁当を作らされたのを思い出しました!
 執念深いですね(笑)
 つくしを食べるって、北海道ではないのですね。
 つくしのはかまをとって、甘っからく煮たり、炒めたり、卵でとじると、春の味が楽しめます。
 与野の神社の付近がまだ野原だったとき、つくしを摘んだものです。
つくし (みいやん)
2017-03-15 21:31:01
北海道居るときはつくしもフキノトウもおままごとに刻んで遊んでいたんですよ。
大人も食べているところは見た事がなかったです。

フキはたくさん採ってゆででから塩漬けにして置いていましたよ。
冬になるとそれを塩抜きして煮物にするととても美味しいのです。
また採りたてのフキとは一味違います。

ろこさんにお料理を褒めて頂くのは恥ずかしいです。
本当に適当料理ばかりですから。
お料理大好きという方がいらっしゃいますが
私は其れほど好きではありません。
何か....義母とのトラウマがあって...台所は嫌なイメージで。今では誰にも気がねせずに作れるのに...
どうも...何かがこびりついていて大好きとは言えないのです。
私も執念深くって(笑)
でも作りますけどね。

ろこさんのところは本当に....三男なのにね。

長男の嫁って...長男だからとあきらめは早いのですが、
長男の嫁なのにと...言われます。
私は男五人の女ひとりの六人兄弟それもみんな優しい...
私に耐えられるわけもありません。
耐えましたけど~(笑)

あっ....家出したことがあります。一ヶ月(笑)




みいやんさんへ(家出) (ろこ)
2017-03-15 22:03:29
みいやんさんへ
 耐えれない我慢をよくなさいましたね。
 つらかったでしょう。
 よ~くわかります!!
 私も家出しました。義父が東京の実家まで迎えに来たので、しかたがなく帰りました。
 結婚前に義父母の家に同居という話が出た時、実家の両親が、娘はわがままに育ったので、同居するなら、この縁談はなしにしてくれと言ったのです。
 それで、離れて暮らすことになったのに、新婚一年未満で、三男の私のところに引っ越してきたのですから、明らかに結婚詐欺です!
 もう体も心も病んでしまうほど、姑にいやがらせをされました。その理由が私が「何不自由なく、幸せに育ったことが憎い!」と言われたので、もうどうすることもできません。
 欠点や家事の至らないところは直せますが、育った環境が憎いと言われたら、もう私にはどうすることもできません。
 みかねた義父が義母をたしなめると、それがまた憎いといわれるので、もう修羅場です。
 盆暮れになると、長男、次男、義妹の家族が大挙して泊りがけでやってきます。
 寝具の支度から、料理何十人分と作らされて、もう盆暮れなんか来ない方がいいと思ったほどです。
 夏休みになると、私が塾を経営していたので、姪っ子や甥っ子が泊りがけで宿題や、勉強を見るのが当たり前のようにやってくるので、塾の生徒さんの父兄があきれ返っていました。
 奴隷です。
 東京で華やかな大学生生活から、田舎の暮らしに、ほとほと神経が参りました。
 テレビをつけるとクラスメイトがキャスターになって活躍。同級生の多くが海外にでて活躍しているのを見ると、都落ちして、このまま、いじめぬかれて、朽ちていくのかと、ずいぶん泣いたものです。
 わたしだって、どれだけ社会で活躍したかったか!!!
 でもその悔しさをバネに、もう一生使うことがない可能性が多い、英語を勉強し続けて、一昨年、とうとう世界70各国が集まる世界会議の通訳として働くことができた時は、本当に嬉しかったです。
 その通訳の仕事を持ってきたのは夫でした。
 長年の罪滅ぼしか、コツコツ無駄だと思える勉強を続けていた私を可哀想におもったのか、仕事の橋渡しをしてくれたのでした。
 いじめぬいた義母を介護して、いつもかばってくれた義父が認知症になっても、兄たちは口は出しても面倒は見ない一点張り。
 最後まで私が介護して二人を見送りました。
 みいやんさんが、義母さまの介護を頑張っていらっしゃるようすをみるにつけ、わがことのように思えます。
 義父が認知症で何もわからないはずなのに、私が耳元で「お父さん、ありがとう」というと、手をつかんで離さず、涙を流しました。
 きっとすべてをわかっていたのだと思います。私をかばって、最後まで応援してくれたのは実の父でなく、この義父でした。
 人生にはいろいろなご縁があるものですね。
 みいやんさんのご苦労、ご心労がしみじみ伝わってきます。
 何もできませんが、心から応援しています。
 つい、愚痴が嵐のように吹き出しました!!!
 ごめんなさい。許してね。
 
 
おはようございます。 (みいやん)
2017-03-16 07:17:46
ろこさんの過去を読んで
絶句します。
私よりはるかに壮絶ですから。

愚痴が嵐の様に....
言って分かってくれる人がいるからだと思います。
私....痛いほどわかります。

今のろこさん~こうして華やかな英語で世界の人の通訳もなさるってすごいです。
以前の記事のアマチュア無線の時の私と息子の衝撃の様に今日も衝撃を受けます。
素晴らしいなぁ~!!
みいやんさんへ(わかる人) (ろこ)
2017-03-16 09:29:38
みいやんさんへ
 朝から愚痴をお聞かせしてしまいました。
 でもおっしゃる通り、似たような境遇でないとわからないことがあります。
 わかってくださる人に巡り合えて、一気に昔のことがよみがえってきました。
 みいやんさんは、今も、別の大変さがおありだと思います。
 私は結婚してからずっと「なんで?」という言葉が消えたことがありません。
 なぜ?なんで私がこんな目に合わなければならないのと、何十年と思い続けてきました。
 苦しかったです。
 夫まで憎かったです。
 実家に里帰りした時、母が「顔が険しくて、怖い顔になっているわよ」と言われてびっくり。
 友達からは「肩があがっている」といわれました。
 いつも、何か言われないように全身で構えているので肩があがって防衛体制になっていたのですね。
 全身が警戒警報発令していました(笑)
 戦いすんで日が暮れて。
 みいやんさんがワンちゃんたちに囲まれて、お孫さんたちと和やかにされているのを見ると、ほっとします。
 台所。嫌な思いがしみているというみいやんさんの言葉。胸にずんときました。
 まったく同じ思いです。
 みいやんさんのいつも明るく、清らかな心に胸打たれていますが、我慢の連続の日々を想います。
 人を気遣い、やさしさにあふれた、みいやんさんの心が、さらに豊かでなごやかなもので満ちますように。
 
 

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