言葉の泉

一粒の種から言の葉が茂ることを願って。

涙の先に

2016年10月07日 | 新・随想

東京の中心部から、地方都市のひなびた市町村に嫁いだ日。
 それは想像を絶するカルチャーショックの連続だった。
 ローカル線は一時間に1本しかない、単線のデイーゼル車。
 乗客は座席に下駄を脱いで正座しているおばあさんと赤とんぼ。
 窓の外には黄金色に輝く稲穂の波。
 無人駅。

 600坪の広い敷地は雑草が生い茂り、そこにぽつりと建っているのが新婚のわが家だった。
 あたりに人家はなく、人っ子一人通らない。
 都落ちした平家の落人のような気持ちになった。
 電話は引けず、テレビはなく、夫が出勤すると、一人ぽっちの長い時間が永遠に続いた。
 土地勘がなく、車もなく、買い物に行くのはどこへ行けばよいかわからず、途方にくれるばかり。
 夜になるとあたりは真っ暗。
 夫の職場の仲間が遊びに来てこういった。
 「○○君!よくもまあ、こんなさみしいところへ嫁さんを連れてきたものだなあ」。
 地元の人もあきれるほどのさみしい地域だった。

 東京に帰りたくても、お金がない。
 電話がない。
 帰り道がわからないという心細さ。
 初任給をもらったばかりの夫の薄給で、私は慣れない土地なので働いていない新米主婦。
 給料をもらってびっくりした。
 大学時代の私の小遣いに近い額だったから。
 給料がいくらかも知らずに結婚したのんきな私。

 夫の父があまりにも可哀想に思ったのか、テレビを買ってくれた。
 テレビをつけると、大学時代の同級生がテレビで華々しく活躍しているのが映りだされた。
 私だって英語を駆使して世界中をかけまわって活躍できたのに、、、.台所へ行って、お茶碗をガシガシ洗った。
 それから押し入れに頭を突っ込んで泣いた。
 今頃大学時代の仲間は社会の第一線で活躍してキャリアを積んでいるのだろうと思うと自分が情けなくなった。
 私は片田舎の人っ子一人通らないさみしい家でお茶碗を洗い、洗濯をし、料理を作っている。この先何があるの?
 涙が枯れ果てるほど毎日泣いたけれど、それがとまる日が来た。
 それはこのブログのカテゴリーにある「はじめに」と「自己紹介」の中にある。
 「はじめに」←ここをクリックしてください

住めば都。今はここが終の棲家。
思えば長い年月が過ぎて行った。

人の評価などあてにならない。
困難は人の生活と精神を拓いていく。
彫琢の跡をなぞるのは今日でおしまいにしよう。

  わたしは今ここに立つ!
 
 
 


 

 
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4 コメント

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可愛らしくって! (みいやん)
2016-10-07 10:47:41
おはようございます!

ワンズたちのお散歩から帰ってきたところです。

可愛らしくって食べてしまいたいくらいの可愛いお名前のクッキーちゃん~


昨夜から明日の朝はクッキーちゃんに会いに行こうと決めていました(笑)
本当に愛らしいですね。

そして~今日はろこさんの自己紹介を読ませて頂きました。
先日のお話のろこさんのお手伝いをしてくださったお義父様のお話と繋がりました。

ろこさんの今までのお話~
前回も書きましたが
本当に私にとっては小説の一説を読んでいるかのように心を惹かれます。
私は読書が苦手で買って読むのはほとんどが心に関係している様なそして簡単なものばかりです。
それでも今回ろこさんに出会いその簡単な一冊の小さな本に書いてあったことが今そうなのかなぁ~と嬉しく思っているところです。
その中に書かれていたことは
自分自身の精神レベルが上がった時~自分の周りには素敵な人との出会いが始まるという事だったからです。

文章の魅力は最近ではRan_coffeebreakさんもそうです。
こころが落ち着きますし
そしてろこさんもそうです。
なぜがワクワクします。
私は文章が苦手なので小学生レベルのような文章~もし私のブログを読んでいただいていましたら凄く恥ずかしいです。でも仕方がありません。
これが自分なのですから(笑)
そんな事で私にとって、ろこさんは魅力的なのです。



みいやんさんへ (ろこ)
2016-10-07 12:30:33
みいやんさんへ
 こんにちは。
 いろいろな思いをお書きくださってありがとうございます。
 つたないブログですが、よろしくおねがいします。
遅ればせながら・・ (猫まんま)
2016-10-07 12:54:53
素敵な結婚記念日ですね。
いいですね~おめでとうございます。
みなさんからの 祝福のコメントがいっぱい!! ろこさんが素敵だからにほかなりませんね~。

財津和夫さんが雑誌で書いていた ”長く結婚生活をしていくうえで大切だと思うことは お互いが自立していることだと思うんですよね。” これを読んだのは中学生だったでしょうか・・・。今でも忘れないのは いつも自分に言い聞かせているからでしょうか。

「明日はきっといい日」

いい日が 積み重なっていくと 明日ももっといい日になるような気がします。

嫌なことがあってどかーんと落ち込んだら あとは 上がっていくだけですよね。

あたしも素敵にがんばろっと!!

猫まんまさんへ(ありがとうございます) (ろこ)
2016-10-07 13:16:21
猫まんまさんへ
 お祝いをありがとうございます。
 中学生にして「自立」の言葉に感ずるものがあったとは、感性が鋭い少女だったのですね。
 私は遅すぎましたが、塾をはじめてやっと「自立」の意味と意義を理解しました。自立した時、やっと自分が一人の「人間」として前へ進めそうだと手ごたえを感じました。
 自立しないと、責任をすべて他人のせい、世の中のせい、誰かのせいと転嫁して自分を確立できないのです。自立は別の意味での自律にもつながります。
 一人では限りがありますが、それでも一人ですべてを背負うぞという気概を持ちたいですね。それは矜持でもあります。精神の誇りです。
 猫まんまさんにそれを理解してもらえて、この記事を書いた甲斐がありました。
 結婚記念日においしい料理を食べたと言いたかったのではなく、来し方を、在りし日の自分を、振り返って、新たなスタートにしたかったのです。
 そうです!胸を張って素敵に頑張りましょう!

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