言葉の泉

一粒の種から言の葉が茂ることを願って。

たのしみは 朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲けるを見る時

2017年04月21日 | 新・随想

太陽が顔を出しはじめた朝のしじまの中、家事を始動する。
植木や花に水遣りをする。

満開のハナミズキの美しさに思わず「わ~ぁ、綺麗!」。


 江戸時代末期の歌人に橘曙覧(たちばなのあけみ)という人がいる。
52首もの歌はすべて「たのしみは・・・」からはじまっている。

『橘曙覧(たちばなのあけみ)全歌集』(岩波文庫)の中から独楽吟(どくらくぎん)と題した連作歌。
・たのしみは 珍しき書(ふみ)人にかり始め一ひらひろげたる時
・たのしみは 妻子(めこ)むつまじくうちつどい頭(かしら)ならべて物をくふ時
・たのしみは 空暖かに うち晴れし春秋の日に出(い)でありく時
・たのしみは 朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲けるを見る時
・たのしみは 家内(やない)五人(いつたり)五(いつ)たりが風邪だにひかでありあへる時
・たのしみは 心をおかぬ友だちと笑ひかたりて腹をよるとき


などと52首が並ぶ。
江戸時代末期の歌人の歌にこんなになごやかで心ほどける歌があったのかと驚くとともに嬉しく共感するのである。
堅苦しさなどみじんもなく、俵万智もひっくりかえりそうなほど率直に普段着の言葉で歌っていて嬉しくなる。

・たのしみは 朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲けるを見る時は驚くなかれ天皇訪米の時、時の大統領、クリントン氏が歓迎式典で引用した歌である。

・たのしみは 朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲けるを見る時
 を毎朝、思い出す。



洗濯機を何回もまわし、掃除機をかけ、拭き掃除を終える頃には汗がにじむ。
家事労働で流す汗はなぜか心地よい。
 誰に評価されるわけでもないけれど、家の中がきちんと片付き、拭き清よめられていると空気までがぴしっと澄んで気持ちが良い。

子供の頃、「ただいま~ぁ」と帰宅すると家の中が拭き清められて玄関には打ち水をされている。

 花が涼しげに活けられていると子供心になんて気持ちの良い家なのだろうと靴を自然ときちんと揃えて入る。
 真っ白な割烹着を着てにこにこした母が出迎えてくれるのは嬉しいことだった。
 遠い日の水が打たれた玄関の佇まいの美しさが思い出されるのだった。



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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます (tempo1078)
2017-04-22 05:15:01
オオイヌノフグリ、
キレイで可愛い。

日常の生活の中に
普遍性を感じる。


何気ない動作の中に
喜びの人生を感じる。
tempo1078さんへ(普遍性) (ろこ)
2017-04-22 08:46:58
tempo1078さんへ
 おはようございます。
 お花は心を和ませてくれますね。
 日に日に緑が色濃くなるのをみると、季節は律義にやってくるものだとおもいます。
 何気ない動作。
 そうですね、日常の中に美や安らぎがあるものだと思います。
ご無沙汰しています (ゆめ)
2017-04-22 10:39:00
ろこさま

まさに今の私の毎日です
日に日に植物の生長していく姿を見ることは元気の源です。
「たのしみは 朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲けるを見る時」
身近にある喜びを心静かに感じていきたいです
心に沁みるお話でした
ありがとうございました
「橘曙覧」
もう少しひも解いてみます
お水やり (みいやん)
2017-04-22 11:15:22
私はお花の育て方が今一分からないのですが...毎日やった方がよいのですか?
お水をやり終えたお花もお庭も気持ちが良いものですよね。
義母がやっていたお庭なので今まで一度も手をかけた事が無いのです。
私の役目は咲いたお花をきれいねぇ~と言う事。(笑)
たまにプレゼントと思って買って来たお花があまり気に入ってもらえずそっぽを向かれとても悲しかった。
背を向けたままで。(笑)
庭にも台所にも嫌な思い出がたくさんあるんですよね。(笑)
それを時々思い出す執念深い私(笑)
あららら...きれいなお花を見て気持ちも安らいだのに
これですもんね。私。
ろこさんのきれいなお掃除の仕方はお母様から引き継いでいるんですね。
さぁ~私もこれからきれいにお掃除しよっと!
今日もやる気を出させてもらって感謝です。
いつもありがとうございます。

ゆめさんへ(掲載おめでとう) (ろこ)
2017-04-22 14:22:07
ゆめさんへ
 こんにちは。
 ゆめさんの、丹精したお花に囲まれた日々は満ち足りて穏やかなものでしょうね。
 物言わぬ植物は風雨にもめげず、ありのままで生きています。
 その無垢な美しさに心惹かれます。
 
みいやんさんへ(水やり) (ろこ)
2017-04-22 14:52:43
みいやんさんへ
 水やり三年という言葉がありますが、水やりは難しいものですね。
 やりすぎても根腐れしてしまうし、やらなければ枯れてしまうし。
 足しげく、植物の状態を見てやると、答えがわかるのだと思います。
 花自慢のお姑さんに、買ったお花をプレゼントとするのは、芳しくありませんでしたね(笑) 
 漬物自慢の人に市販の漬物をプレゼントするようなものですから。
 でもみいやんさんの無念な気持ちはわかります。
 義父が丹精した畑のお野菜を喜んで食べていたら、お姑さんに「食うだけ食いやがって」と口汚くののしられたことがありました。
 お前も畑仕事をしろということなのだと思いますが、私も仕事を持っていたし、都会育ちで畑仕事はできません。あまりのことに、では野菜は買いますと言ったのは若気の至りでした。
 料理は新婚当時、「何もできませんので教えてください」と言ったら、「あなたの好きなようにやりなさい」と言って教えてもらえませんでした。仕方がないので、その辺にあるほうれんそうでおひたしを作って、かつぶしをパラパラとかけたら「猫じゃあるまいし」と言って、片づけられてしまいました。
 私もみいやんさんと負けずおとらず、台所と庭には嫌な嫌な思い出が漬物にしたいぐらいあります(笑)
 あの当時、ブログがあったら、愚痴ばっかり書いていたに違いありません。
 ブログがなくてよかった(笑)。
 今はすましてこんなことを書いていますが、昔は修羅場でした。
 若かったので、うまくかわすすべを知らなかった未熟な私でした。
 それでも最後まで介護して見送ったのは三男の嫁の私でした。
 実の娘である義妹も、義兄二人も、口は出しても手は出さずで最後まで介護も何もしないで過ぎました。
 みいやんさんを見ていると、わがことのように思えて、肩入れしてしまいます。
 私の結婚生活のほとんどを嫁姑問題と介護で明け暮れました。
 誰かが、私のブログを読んで優雅なマダム生活で羨ましいと書かれて、複雑な気持ちでした。
 苦労のどん底の人のように思うのでなく、優雅なマダムだと思われる方が、素敵に違いありません。
 目の不自由な人が象のしっぽを触って、象は細いひものような動物だと評価するようなものですね。
 
知るを楽しむ (Rei)
2017-04-22 15:17:55
ありがとうございます!知らないこと教えて頂くと得をした気分です。
たのしみは~で始まり、~ときで終わるんですね。
なんとシンプルなのに魅力的ですね。
福井市に記念文学館があるのですね。私の楽しみは知らないことを知った時。
Reiさんへ(シンプル) (ろこ)
2017-04-22 16:02:14
Reiさんへ
 こんにちは。
 本当にシンプルでわかりやすい歌に惹きこまれます。
 そうそう。
 福井の方ですね。
 Reiさんの知識欲には脱帽です。
 気候がよくなったので、福井まで足をのばして、記念文学館にいってみるのもいいですね。
 
 

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