言葉の泉

一粒の種から言の葉が茂ることを願って。

おみやげ

2017年09月14日 | 日記その1


幸福感は、人それぞれだけれど小さなことにも幸せはあるものだ。
母は晴れた日に家中の洗濯物を干し、それを取り入れるとき幸福だと思うといった。
私はそんなささやかな幸福感を不思議に思ったものだ。
しかし自分が病気になって昨日より今日、痛みがとれるとほっとし、痛みに耐え抜いた夜があけるとまたほっとする。
そして退院した日に見た風景のあらゆるもの、風のそよぎ、街の雑踏、燦燦とした日の光に生きていることの幸福感を感じありがたいと思った。
夕餉のひと時、湯気の向こうの笑顔に幸福が漂うのを感じる。
寒い日の夜、お風呂の向こうから「ああ、いいお湯だァ!」と言う声にも小さな幸せはにじんでいる。
小さな幸せをどれぐらい感じるかそれがその人のこころのありようかもしれない。
私が大好きな詩人 まどみちお さんの詩「おみやげ」

おみやげ

なんだか 足が軽いと思ったら
さっき電車の中で
知らないよその赤ちゃんが
笑いかけたのだった
わたしを見て
嬉しくてたまらないように

その笑い顔を
いつのまにか 胸にかかえていて
それで 夜道の足もとを
てらすようにしながら
わたしは急いでいるのだった

父がいなくなった家で
ひっそり 待っている母に
そのおみやげを
はやく見せてあげたくて

(『くまさん』まど・みちお (童話屋)から)


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