天と地の間

クライミングに関する記録です。

比叡Ⅱ峰奥壁 人形岩開拓第2弾

2009年10月13日 | 開拓
日曜日

連休の日月で人形岩開拓の開拓に入ることにした。前回、一人で懲りたので今回は総勢4人。
1,2ピッチを所見でドクターに取り付いてもらうことにした。続いて、S田、勝さん。そして、最後に私が掃除をしながら2ピッチまで上がる。


1ピッチ 取り付き グレードは9ぐらい。



2ピッチ もっとも快適な部分を登る私。
グレードは10bぐらいか。


 2ピッチ終了点に4人揃ったところで私がリードと交代し、期待と緊張の入り混じった気持ちでいよいよ最終ピッチの開拓へと望んだが、小
カンテを回り込んだところで早くも愕然とする。クラックが細すぎる。しかも浅すぎる。ピックで掃除するとなんとか極小ナッツと青エイリ
アンを咬ませることができるようになったが、指が決まらない。何度か試したが簡単にはムーブは解決しそうにない。
 今日のところは、終了点の設置と掃除と気持ちを切り替え、再び掃除にかかることにする。


3ピッチ目の出だし。ここからすでに核心。
この部分が垂直以上。その上がさらに傾斜がきつくなる。


 ところが、カムにテンションをかけてクラックを掃除していたら鈍い音が!カムを見ると、周りの岩の粒子が削れている。それを確認した
刹那、カムは3段階にわたって開いた!当然、その次は落下。ほぼビレイ点まで落ちた。セット時に不安があったがやはり外れた。ある程度、
覚悟はしていてたが、外れる瞬間を見るのはいやなものである。 ここまで来るとグランドホールの心配はないが、高度感が恐怖を上乗せす
る。ビレイヤーが言うには、「うっ!」っとうめいてから、カムが外れるまでタイムラグがあったという。まさに、そのタイムラグこそが私
が恐怖に顔を引きつらせていた時間である。これもグランドアップでの開拓のリスクと思うしかない。

 

 再び、エイドで被った最も悪い部分を乗り越えると、上までワイドになりながら伸びているクラックが現れた。このクラックに導かれるよ
うに上がると人形の肩の部分であった。3ピッチでもっとも快適に登れた部分でもあった。



登っているように見える私だが。


 I辺氏がフォローで上がってくると、5時を過ぎていたため、頭の部分を登るのはやめて、終了点を設置した後、二人で掃除をしながら夕
暮れに追われるように下った。





月曜日

 I辺氏が戦列を離れ、今日は、3人で行くことにした。
1,2ピッチを私がリードし、S田君、勝さんが上がってきたところで、ギアラックに選別したギアを掛けるも、いつも緊張感と共ににじみ出
てくる気合が心なしか足りない。そう。昨日、簡単には解決できそうにないのが見て取れたからだ。しかし、昨日の掃除で幾分登りやすく
はなっているだろうと期待し、取り付いてみたが、悪い。それもかなり。クラックというよりもほぼフェースクライミングである。せめて
足が使えればなんとかそうであるがそのホールドも乏しい。それでも何度もやっているうち、第一の核心を越える一歩手前まで進むことが
出来た。ここまで約2時間。足も、指も経たって来た。それにこれ以上はビレイさせられないと考え、核心部はエイドで抜けることにした。
その第一の核心を抜けるとすぐに第2の核心が来る。というよりもつながっていると言った方が近いだろう。フットホールドはなく、シンク
ラックが被っている。



左のチムニーは、人形岩で唯一、肩まで抜けているルート。


  雨がクラックの土を落とし、体もフレッシュなときに出直せば、また、違った展開が望めるかもしれないと慰めつつ、ここもエイドで
乗り越し、人形岩の肩へと上がる。3時間以上、ビレイさせていただろう。申し訳ないことだ。


3ピッチの終了点から撮影。右下の凹角が取り付き。そこはまったく見えない。
シンクラックが下りていった先が被っているために消えている。
その部分にちょうどロープがはまっている。クラックの幅はほとんどロープの幅。


 残る二人が上がってきた後、遅い昼食をとりながら、比叡Ⅰ峰北面の景色を堪能する。
比叡の壁ではここが一番高い位置にあるため、Ⅰ峰北面の見晴らしはすこぶる良い。

追記・・・大変なところを掘り起こしたものだとつくづく感じ、絶望的になってきた。こんなところを果たしていけるのだろうかと。仮に
ムーブを解決してもプロテクションをとる余裕はないだろう。私には、矢筈にあるマスターズルーフ12aのほうが、登れる可能性がある
と感じた。ルートの質が違うため、単純には比較できないが、それを思うと12bはあってもおかしくはないように思える。
 ここがゲレンデであれば、何度でもトライすることが出来るが、なにせ場所が場所だけにそうもいかない。しかし、せっかく、仲間と苦
労して終了点を設置し、掃除もして登るだけの状態まで仕上げただけに、機会があればまた、狙っていきたい。
 
 今回は、時間の都合で人形岩の頭部へは立つことが出来なかったが、頭部もかなり難しい7m程のフェースであることを記しておこう。
3ピッチが登れないことには意味がないので、とりあえずは最終ピッチは、肩までで留めておくことにする。


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